ホーム › 読みもの › AIを導入しても社長の仕事が減らない3つの理由|中小企業のAI活用で先に見直すこと › 中小企業のマーケティング予算は売上の何%?目安と決め方、AIで下がる費用・下がらない費用

中小企業のマーケティング予算は、
「売上の◯%」より「1人の新しいお客様にいくらまで使えるか」から逆算して決めてください。よく見る「売上の5〜10%」は主に海外の目安です。日本の企業が実際に使っている広告宣伝費と販売促進費は、
売上の平均1.3%、
資本金1億円未満の会社では0.5%です。
AIで下げられるのは広告そのものの費用ではなく、
運用・制作・集計の「作業費」です。ここを分けて考えると、
削ってはいけないお金まで削らずに済みます。
この記事で分かること
「マーケティングに、いくらかけるのが正解なんだろう」
広告会社さんに聞けば「もう少し増やしましょう」と言われる。税理士さんに聞けば「経費を抑えましょう」と言われる。
どちらも間違いではないから、余計に迷いますよね。
迷ってしまうのは、
予算の「正解の金額」を探していて、
自社の数字から決める順番を持っていないからだと、
私は考えています。
よく紹介される目安は、売上の1〜10%です。
ただ、この数字は記事によってかなり幅があります。もとをたどると米国の中小企業向けの目安が多く、
出典が書かれていないものもあります。
目安としては使えます。でも、「うちは売上の何%だから、この金額」と決めてしまうと、
2つのことが起きやすいです。
比率は「決めたあとに、多すぎないか・少なすぎないかを確かめる物差し」として使うのがちょうどいいと、
私は考えています。
日本の数字も見ておきます。
東京商工リサーチが2025年1月に公表した「広告宣伝費+販売促進費」動向調査では、
2023年度に販管費の内訳が分かった26万5,253社のうち、
売上に対する宣伝費(広告宣伝費と販売促進費)の割合は平均1.3%でした。資本金1億円未満の会社に絞ると0.5%です。
| 東京商工リサーチの調査(2023年度) | 売上に対する宣伝費の割合 |
|---|---|
| 全体の平均 | 1.3% |
| 資本金1億円以上の企業 | 1.9% |
| 資本金1億円未満の企業 | 0.5% |
| 5%以上使っている企業の割合 | 全体の1.3%だけ |
出典:東京商工リサーチ「広告宣伝費+販売促進費」動向調査(2025年1月23日公表)。対象は2023年度に販管費の内訳が判明した26万5,253社。中小企業だけを集計した数字ではありません。
業種による差も大きく、
職業紹介業(18.8%)や化粧品の小売(18.4%)は売上の2割近くを使っています。
ひとつ注意があります。海外の「5〜10%」は、
制作費や担当者の人件費まで含めたマーケティング予算全体の目安として紹介されることが多く、
こちらの1.3%は広告宣伝費と販売促進費だけの割合です。同じ物差しではありません。
それでも、日本では広告に売上の5%以上を使っている会社が1.3%しかない、
というのは知っておいてよい数字です。「5〜10%使っていないから足りない」と焦る必要はありません。
見るべきなのは平均との差ではなく、
使ったお金が、あとで何倍になって返ってきているかです。
予算は、次の順番で決めます。
たとえば、こんな会社だったとします(説明のための例です)。
| 項目 | 例の数字 |
|---|---|
| 年商 | 6,000万円 |
| 新しいお客様1人が最初の1年で払う金額 | 30万円(粗利15万円) |
| 1人を獲得するのに使える上限 | 粗利の3分の1=5万円 |
| 来年増やしたい新しいお客様 | 12人 |
| 新規獲得の予算 | 5万円×12人=60万円(売上の1%) |
上限を「粗利の3分の1」にしているのは、
残りの3分の2で、
商品をお届けする手間や会社の固定費をまかない、
利益も残すためです。粗利率が低い商品なら、もっと低く置いてください。
ここで「最初の1年」で見るのにも理由があります。
何年も続くお客様を前提に上限を高くすると、
お金が戻ってくる前に手元の資金が足りなくなるからです。長いおつきあいは「上限の計算」ではなく、
「この会社にお金を使う価値があるか」の判断に使います。
広告で何件の問い合わせが必要か、
までの細かい割り戻しは、
広告運用代行の費用相場と、
頼む前に社内で決めておくことで書いています。
マーケティング予算と一口に言っても、
中身は性質の違う3つに分かれます。
| 予算の中身 | 例 | AIで下がるか |
|---|---|---|
| 媒体費 | 広告そのものの費用、チラシの印刷・配布 | 下がらない(お客様に届けるためのお金) |
| 作業費 | 運用代行の手数料、原稿・バナー・LPの制作、数字の集計 | 下がりやすい |
| ツール費 | 配信システム、LPツール、AI | 少し増えることもある |
AIで予算を抑えたいとき、
真っ先に削られがちなのが広告そのものの費用です。でも、そこを削るとお客様に届く数がそのまま減ります。
下げるべきなのは、
届けるまでにかかっている作業のほうです。
私の会社では、2024年1月から2025年7月まで、
広告運用を代行会社にお願いしていて、
運用代行費は月11万〜22万円でした。
その後、代行をやめて自社で運用する形に切り替えました。AI・配信やLPのツール・デザインツールを合わせたツール費は、
月約4.2万円です。
| 以前(2024年1月〜2025年7月) | いま(2026年) | |
|---|---|---|
| 広告運用 | 代行会社に依頼 | 自社で運用する形に |
| 月の支払い | 運用代行費 11万〜22万円 | ツール費 約4.2万円 |
※どちらも広告費そのものは含みません。いまのツール費は、
広告運用のほかにLP・メールやLINEの配信・原稿づくりにも使っている金額です。また、私自身が使っている時間は入っていません。
減ったのは「作業費」です。広告費そのものを減らしたわけではありません。
浮いたお金と時間を、お客様に届けるほうに回せる。予算を「抑える」というより、
使う場所を作業から成果のほうへ移した、
という感覚に近いです。
具体的な抑え方の手順は、
中小企業がマーケティング予算を抑えるには?AI活用・運用の進め方にまとめています。
あなたの会社の予算表は、
「新しいお客様を集めるため」の行だけになっていませんか。
すでにお取引のあるお客様、
以前お問い合わせをくださった方、
何年も前に買ってくださった方。この方たちに向けた予算の行が無いと、
毎月の打ち合わせで話題にのぼることもありません。
でも、ご支援先では、広告を使わずに、
すでにつながりのある方へのご案内から大きな売上につながった例があります。
どちらも、新しいお客様を探す前に、
もう知ってくださっている方に何をお届けできるかを考え直したところから始まっています。
予算表に「既存のお客様への案内」という行を1つ足して、
金額が0円でも書いておく。それだけで、毎月の打ち合わせで「ここに何ができるか」を話すきっかけになります。
既存のお客様へのご案内の進め方は、
既存顧客のフォローで売上を伸ばす方法で詳しく書いています。
もう1つ、予算を決める前に確かめてほしいことがあります。
広告の効果を、広告費だけで割って見ていないか、です。
顧問先で、広告の数字を1年分、
代理店の手数料まで入れて並べ直したことがあります。
すると、半分ほどの月が赤字でした。
広告の管理画面に出てくるのは、広告費に対する売上です。手数料や制作費は、そこには入っていません。間違っているわけではなく、見ている範囲が違うのです。
予算の効果は、媒体費+作業費+ツール費を全部足した金額で見てください。広告費だけで見て「黒字だから増やそう」と決めると、
増やすほど手残りが減ることがあります。
広告費のどこが無駄になりやすいかは、
広告費が無駄になる5つのパターンで確認できます。
AIツールを入れた、代行会社を変えた。それでも「結局いくらが正しいのか分からない」まま、
ということがあります。
原因は、たいてい次の2つのどちらかです。
1つ目は、「いくらまでなら払っていいか」の基準が、
社長の頭の中にしかないこと。
「この広告はもう少し続けよう」「この月は止めよう」と、
社長の中には判断の基準があります。でも、その基準が言葉になっていないと、
代行会社にもAIにも渡せません。渡せないから、毎回社長が判断することになり、
外注しても楽にならない。AIに分析をさせても、
「で、止めるの?続けるの?」が決まりません。
2つ目は、数字がばらばらの場所にあること。
広告の数字は広告の管理画面に、
問い合わせはメールに、売上は会計ソフトに、
お客様の情報は担当者のエクセルに。これでは「この広告から来たお客様が、その後いくら払ってくださったか」が誰にも分かりません。AIは集めた数字を整理するのは得意ですが、
どこにも記録されていない数字は作れません。
私の会社でも、数字の集計や改善案の下書きはAIに任せる形にしましたが、
続ける・止めるを決めるのは人です。AIに渡せるのは、1か所に集まった数字と、
言葉になった判断の基準だけだからです。
順番を逆にすると、ツール費だけが増えて、
判断は社長に残ったままになります。
予算は1年に1回決めて終わりではなく、
毎月同じ表で、予算と実際に使った額と結果を並べて見ます。
そのとき見る数字は、次の3つです。
| 見る数字 | 分かること |
|---|---|
| おつきあい期間(初めて買ってくださった日から最後に買ってくださった日まで) | 使ったお金で来たお客様が、長く続いているか |
| 購入回数 | 一度きりで終わっていないか |
| 生涯ご入金額 | 獲得にかけた金額を、あとから何倍で返してくださっているか |
問い合わせの単価(CPA)や成約率も見ますが、
それは途中の数字です。安く集まっても、
すぐ離れてしまうお客様ばかりなら、
予算は増やすべきではありません。反対に、1人あたりの獲得単価が高くても、
何年も続くお客様が来ているなら、
その使い方は正解です。
私がご支援してきたなかで、
いちばん長いおつきあいは6年になります。1人のお客様が長く続いてくださると、
同じ売上をつくるのに必要な新しいお客様の数が減ります。つまり、おつきあい期間が延びるほど、
新規獲得の予算は少なくて済むようになります。
3つの数字の見方は、
顧客生涯価値(LTV)を高めるには?で詳しく書いています。次に大きなお金を使う場所で迷ったら、
次の100万円をどこに使うかも参考にしてください。
| 問い | 答え |
|---|---|
| 売上の何%が目安? | よく言われるのは1〜10%。日本の企業の広告宣伝費は平均1.3%(資本金1億円未満0.5%) |
| どう決める? | 1人の粗利→1人に使える上限→人数の順で逆算。比率は最後の確認に |
| AIで下がるのは? | 運用・制作・集計などの作業費。広告そのものの費用は下がらない |
| 見落としやすい行は? | 既存のお客様への案内。0円でも予算表に書く |
| 効果はどう見る? | 代行手数料・制作費・ツール費まで入れて見る |
| 見直しの数字は? | おつきあい期間・購入回数・生涯ご入金額 |
A.よく言われる目安は売上の1〜10%ですが、
比率より逆算で決めてください。
日本の企業が実際に使っている広告宣伝費と販売促進費は、
売上の平均1.3%、
資本金1億円未満では0.5%です(東京商工リサーチ・2023年度)。1人の新しいお客様の粗利から使える上限を出し、
増やしたい人数を掛け、
最後に比率で多すぎないかを確かめてください。
A.減るのは運用・制作・集計などの作業費で、
広告そのものの費用は減りません。
私の会社では、月11万〜22万円だった広告運用の代行費が、
自社で運用する形にして、
複数の用途に使うツール費 月約4.2万円になりました。広告費そのものは含めていない比較です。
A.含めて見てください。
広告費だけで効果を見ると黒字でも、
代行手数料や制作費を入れると赤字になる月があります。社内の人が使っている時間も、
少なくとも「何時間かかっているか」は書いておくと、
AIや外注に移すかどうかの判断ができます。
A.売上比率で自動的に減らすのではなく、
どこに使っているかを見直してください。
作業費は減らせても、
お客様に届けるための費用まで削ると、
翌年の売上がさらに下がることがあります。まずは既存のお客様へのご案内のように、
お金をかけずにできることから見直してください。
A.新しいお客様を集める前に、
すでに知ってくださっている方へのご案内からです。
既存のお客様や以前お問い合わせをくださった方へのご案内は、
ほとんど費用がかかりません。ご支援先でも、広告を使わずに初月214万円の売上になった例があります。
マーケティング予算に「正解の金額」はありません。1人のお客様からいくら返ってくるかを出し、
作業費と媒体費を分け、
既存のお客様の行をつくる。この順番で決めると、
AIで抑えるべきところと、
抑えてはいけないところが見えてきます。今ある資産を活かした事例と、
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