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THEME 01|AI活用の前に、社長の仕事を整理する

業務効率化・仕組み化

属人化をなくすには?中小企業で「あの人しか分からない」を仕組みにする手順

属人化をなくすには?中小企業で「あの人しか分からない」を仕組みにする手順

結論からいうと、属人化をなくすには、手順書を作る前に「止まると困る仕事」を選び、その仕事の「判断」を言葉にすることから始めます。

手順だけを書いたマニュアルでは、「この場合はどうしますか?」という確認が、結局その人に戻ってきます。

そしてもう一つ。
中小企業では、一番の属人化は社長自身ということも少なくありません。

この記事では、属人化をなくすための手順を、少人数の会社でも回せる形で紹介します。


属人化とは?なぜ中小企業で起きやすいのか

属人化とは、ある仕事のやり方や判断が特定の人の頭の中にしかなく、その人がいないと進まない状態のことです。

よく挙げられる原因は、次のようなものです。

  • 手順が書かれていない
  • 専門性が高く、ほかの人が手を出しにくい
  • 忙しくて、引き継ぎや共有の時間が取れない

中小企業では、ここにもう一つ事情が重なります。

担当が1人なのが当たり前だということです。

社員が数名〜20名ほどの会社では、「この仕事は二人で分担しましょう」と言っても、そもそも人が足りません。

だから、大企業向けの「二人体制にする」「ローテーションする」といった解決策が、そのままでは使えないことが多いのです。


中小企業で一番多い属人化は、社長自身ではありませんか?

属人化というと、「ベテラン社員しか分からない仕事」を思い浮かべる方が多いと思います。

企業診断でお話を伺った経営者の方々は、みなさん「社長がいなくても回る状態」を目指していました。

目指しているということは、まだそうなっていないということでもあります。

たとえば、事業歴10年以上の語学スクールの会社では、代表自身が、市場リサーチ、企画、セミナーの制作、スライド作成、コンテンツ制作、分析、意思決定まで抱えていました。

10年以上かけて、教材・動画・顧客データ・アンケート・成功事例を積み上げてきた会社です。
個別相談に進んだ方への販売力も高い。

それでも、代表が本当にやりたかった新商品や法人向けのサービス、人材育成、組織づくりに、時間を使えていませんでした。

この会社では、診断のあと、手順書をもとに、AIを使った仕事の分担を自社で組まれました。

代表からは、こんな声をいただきました。

> 「定量・定性の両面からサポートいただいたことで、深く納得することができました。プレイングマネージャーとして仕事に追われている、忙しい経営者の方に強くお勧めしたいサービスです」

社長に仕事と判断が集まっていると、社長が休んだときに会社が止まりやすくなります。

それ以上に困るのは、社長にしかできない未来の仕事に、手が回らなくなることです。


属人化をなくすには、どんな手順で進めればいいですか?

私は、次の5つの順番で進めます。

  1. 止まると困る仕事を選ぶ:その人が1週間いなかったら、どの仕事が止まるか
  2. 仕事を工程に分ける:「営業」「見積もり」のような大きな仕事を、実際の作業の単位まで書き出す
  3. 工程ごとに、手順と判断を分けて書く:手順はそのまま書く。判断は「どんな条件なら、どうするか」で書く
  4. 任せる範囲を決める:どこまでなら任された人が決めていいか。どこからは確認が要るか
  5. 戻ってきた確認を記録して、書き足す:渡したあとに戻ってきた質問は、判断基準の書き足りないところ

一般によく紹介される手順(棚卸し→可視化→マニュアル化→共有→見直し)と、大きくは同じです。

違うのは、3番で「手順」と「判断」を分けることと、1番で「全部」ではなく「止まると困るもの」から選ぶことです。

担当が1人の会社で、全部の仕事を一度に書き出すのは現実的ではありません。

仕事の書き出し方と、社長・人・AI・仕組み・やめるへの振り分け方は、こちらで詳しく書いています。

→ 業務棚卸しのやり方|AIに任せる仕事・人に任せる仕事を5つに分ける


マニュアルを作ったのに、結局その人に聞かれるのはなぜですか?

マニュアルに書いてあるのが、手順だけだからです。

属人化している仕事の多くは、手順そのものより、その途中にある判断が難しい仕事です。

書いておくものは、3つあります。

手順は、見積書のフォーマットに数字を入れる、といった作業です。
順番どおりに書けば足ります。

判断は、この案件は受けるか、値引きするか、といったところです。
「金額・相手・内容がこうなら、こうする」と、条件で書きます。

例外は、どの条件にも当てはまらないときです。
「このときだけ確認する」と決めておきます。

手順は書けても、判断が書かれていないと、任された人は「これでいいですか?」と聞くしかありません。

私自身も、自社の仕事を仕組みやAIに移していったとき、渡せたのは判断基準を言葉にできた仕事からでした。

「何をもって良しとするか」「どこまでなら任された側で決めていいか」が言葉になっている仕事は、AIにも渡せました。
人に任せるときも、同じだと思っています。

「なんとなく、この感じ」で決めている仕事は、渡しても結局、自分のところに戻ってきます。


少人数の会社で、属人化を防ぐにはどうすればいいですか?

担当を二人にできないなら、仕事を分けるのではなく、判断を分けます。

人数を増やしても、確認と判断が一人に集まったままでは、属人化は解けません。
私自身、それで失敗したことがあります。

コンサル事業で、導線づくりやサービスまわりの仕事をお願いする外注さんを10名ほど集めて、依頼したことがあります。

いい方ばかりで、本当にありがたかったです。

でも、お願いするたびに、確認が私のところに戻ってきました。

「こんなふうにアドバイスしたのですが、どう思いますか?」「原稿を書いてみたのですが、どうですか?」と、意見や添削を求められる。
一人ひとりとのやりとりが増えて、むしろ私が忙しくなってしまいました。
お金も時間もかかって、正直、失敗でした。

外注さんが悪かったわけではありません。
何をもって良しとするのか、どこまでなら自分で決めていいのかを、私が言葉にして渡していなかった。
マニュアルも段取りも足りていなかった、私の準備不足です。

そのあと、ちょうどAIが進化してきたこともあって、それまで長く外注していた広告運用も、自分でAI役員(役割ごとに分けたAI)と回せるようになりました。

AIに渡せたのも、判断基準を言葉にできた仕事からでした。

だから少人数の会社では、人を増やす前に、判断を分けることから始めたほうがいいと考えています。

  • 毎回同じ答えになる判断 → 条件で書いて、任せる
  • 会社のお金や方向に関わる判断 → 社長に残す
  • どちらでもないもの → 戻ってきたときに、どちらに入れるか決める

物販をしていた頃、外注さん約20名にお願いしたときの任せ方は、こちらに書いています。

→ 外注化で社長は楽になる?外注約20名にお願いして分かった「任せ方」と4つの仕事の分け方


属人化は、全部なくさないといけませんか?

全部なくす必要はない、と私は考えています。

属人化には、なくしたほうがいいものと、会社の財産として残したほうがいいものがあります。

なくしたほうがいい属人化は、決まった手順の作業や、毎回同じ答えになる判断です。
手順と条件を書いて、人・仕組み・AIに渡します。

残したほうがいい属人性は、お客様との信頼関係、長年の経験から来る見立て、商品へのこだわりです。
これはその人に残します。
そのうえで、考え方を言葉にして、会社にも残していきます。

長く事業を続けてきた会社ほど、社長やベテランの頭の中に、ほかの会社には真似できない知見が積み上がっています。

それを「属人化だから」と一律に消そうとすると、会社の強みまで薄くなってしまいます。

目指すのは、その人がいなくても止まらない状態と、その人の知見が会社に残っている状態の両方です。

頭の中にある価値を、再現できる形に言葉にしていく。
ここは、AIに情報を集めさせるだけではできず、人が関わって引き出していくところだと思っています。

社長の暗黙知を言葉にする方法も、あわせて読んでみてください。


この記事のまとめ

疑問答え
属人化をなくすには、何から?止まると困る仕事を選び、その仕事の判断を言葉にする
中小企業で多い属人化は?社長自身に仕事と判断が集まっていること
マニュアルを作っても聞かれるのは?手順だけで、判断の条件が書かれていないから
二人体制にできないときは?仕事ではなく判断を分ける。任せる判断と社長に残す判断
全部なくすべき?なくす属人化と、会社の財産として残す属人性を分ける

よくある質問

属人化をなくすには、まず何をすればいいですか?

A.その人が1週間いなかったら止まる仕事を選び、工程に分けて書き出すことから始めます。

全部を一度に書き出す必要はありません。

社長の仕事の属人化は、どうやって解消すればいいですか?

A.社長がしている判断のうち、毎回同じ答えになるものを条件で書き、任せる範囲を決めます。

会社のお金や方向に関わる判断は、社長に残します。

属人化を防ぐマニュアルには、何を書けばいいですか?

手順に加えて、「どんな条件なら、どうするか」という判断と、確認が必要な例外を書きます。

属人化はすべて悪いことですか?

A.いいえ。
決まった手順の作業はなくしたほうがいい一方で、お客様との信頼関係や長年の見立ては、会社の財産として残したほうがいい属人性です。


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