ホーム › 読みもの › AIを導入しても社長の仕事が減らない3つの理由|中小企業のAI活用で先に見直すこと › 属人化をなくすには?中小企業で「あの人しか分からない」を仕組みにする手順

結論からいうと、属人化をなくすには、手順書を作る前に「止まると困る仕事」を選び、その仕事の「判断」を言葉にすることから始めます。
手順だけを書いたマニュアルでは、「この場合はどうしますか?」という確認が、結局その人に戻ってきます。
そしてもう一つ。
中小企業では、一番の属人化は社長自身ということも少なくありません。
この記事では、属人化をなくすための手順を、少人数の会社でも回せる形で紹介します。
属人化とは、ある仕事のやり方や判断が特定の人の頭の中にしかなく、その人がいないと進まない状態のことです。
よく挙げられる原因は、次のようなものです。
中小企業では、ここにもう一つ事情が重なります。
担当が1人なのが当たり前だということです。
社員が数名〜20名ほどの会社では、「この仕事は二人で分担しましょう」と言っても、そもそも人が足りません。
だから、大企業向けの「二人体制にする」「ローテーションする」といった解決策が、そのままでは使えないことが多いのです。
属人化というと、「ベテラン社員しか分からない仕事」を思い浮かべる方が多いと思います。
企業診断でお話を伺った経営者の方々は、みなさん「社長がいなくても回る状態」を目指していました。
目指しているということは、まだそうなっていないということでもあります。
たとえば、事業歴10年以上の語学スクールの会社では、代表自身が、市場リサーチ、企画、セミナーの制作、スライド作成、コンテンツ制作、分析、意思決定まで抱えていました。
10年以上かけて、教材・動画・顧客データ・アンケート・成功事例を積み上げてきた会社です。
個別相談に進んだ方への販売力も高い。
それでも、代表が本当にやりたかった新商品や法人向けのサービス、人材育成、組織づくりに、時間を使えていませんでした。
この会社では、診断のあと、手順書をもとに、AIを使った仕事の分担を自社で組まれました。
代表からは、こんな声をいただきました。
> 「定量・定性の両面からサポートいただいたことで、深く納得することができました。プレイングマネージャーとして仕事に追われている、忙しい経営者の方に強くお勧めしたいサービスです」
社長に仕事と判断が集まっていると、社長が休んだときに会社が止まりやすくなります。
それ以上に困るのは、社長にしかできない未来の仕事に、手が回らなくなることです。
私は、次の5つの順番で進めます。
一般によく紹介される手順(棚卸し→可視化→マニュアル化→共有→見直し)と、大きくは同じです。
違うのは、3番で「手順」と「判断」を分けることと、1番で「全部」ではなく「止まると困るもの」から選ぶことです。
担当が1人の会社で、全部の仕事を一度に書き出すのは現実的ではありません。
仕事の書き出し方と、社長・人・AI・仕組み・やめるへの振り分け方は、こちらで詳しく書いています。
→ 業務棚卸しのやり方|AIに任せる仕事・人に任せる仕事を5つに分ける
マニュアルに書いてあるのが、手順だけだからです。
属人化している仕事の多くは、手順そのものより、その途中にある判断が難しい仕事です。
書いておくものは、3つあります。
手順は、見積書のフォーマットに数字を入れる、といった作業です。
順番どおりに書けば足ります。
判断は、この案件は受けるか、値引きするか、といったところです。
「金額・相手・内容がこうなら、こうする」と、条件で書きます。
例外は、どの条件にも当てはまらないときです。
「このときだけ確認する」と決めておきます。
手順は書けても、判断が書かれていないと、任された人は「これでいいですか?」と聞くしかありません。
私自身も、自社の仕事を仕組みやAIに移していったとき、渡せたのは判断基準を言葉にできた仕事からでした。
「何をもって良しとするか」「どこまでなら任された側で決めていいか」が言葉になっている仕事は、AIにも渡せました。
人に任せるときも、同じだと思っています。
「なんとなく、この感じ」で決めている仕事は、渡しても結局、自分のところに戻ってきます。
担当を二人にできないなら、仕事を分けるのではなく、判断を分けます。
人数を増やしても、確認と判断が一人に集まったままでは、属人化は解けません。
私自身、それで失敗したことがあります。
コンサル事業で、導線づくりやサービスまわりの仕事をお願いする外注さんを10名ほど集めて、依頼したことがあります。
いい方ばかりで、本当にありがたかったです。
でも、お願いするたびに、確認が私のところに戻ってきました。
「こんなふうにアドバイスしたのですが、どう思いますか?」「原稿を書いてみたのですが、どうですか?」と、意見や添削を求められる。
一人ひとりとのやりとりが増えて、むしろ私が忙しくなってしまいました。
お金も時間もかかって、正直、失敗でした。
外注さんが悪かったわけではありません。
何をもって良しとするのか、どこまでなら自分で決めていいのかを、私が言葉にして渡していなかった。
マニュアルも段取りも足りていなかった、私の準備不足です。
そのあと、ちょうどAIが進化してきたこともあって、それまで長く外注していた広告運用も、自分でAI役員(役割ごとに分けたAI)と回せるようになりました。
AIに渡せたのも、判断基準を言葉にできた仕事からでした。
だから少人数の会社では、人を増やす前に、判断を分けることから始めたほうがいいと考えています。
物販をしていた頃、外注さん約20名にお願いしたときの任せ方は、こちらに書いています。
→ 外注化で社長は楽になる?外注約20名にお願いして分かった「任せ方」と4つの仕事の分け方
全部なくす必要はない、と私は考えています。
属人化には、なくしたほうがいいものと、会社の財産として残したほうがいいものがあります。
なくしたほうがいい属人化は、決まった手順の作業や、毎回同じ答えになる判断です。
手順と条件を書いて、人・仕組み・AIに渡します。
残したほうがいい属人性は、お客様との信頼関係、長年の経験から来る見立て、商品へのこだわりです。
これはその人に残します。
そのうえで、考え方を言葉にして、会社にも残していきます。
長く事業を続けてきた会社ほど、社長やベテランの頭の中に、ほかの会社には真似できない知見が積み上がっています。
それを「属人化だから」と一律に消そうとすると、会社の強みまで薄くなってしまいます。
目指すのは、その人がいなくても止まらない状態と、その人の知見が会社に残っている状態の両方です。
頭の中にある価値を、再現できる形に言葉にしていく。
ここは、AIに情報を集めさせるだけではできず、人が関わって引き出していくところだと思っています。
社長の暗黙知を言葉にする方法も、あわせて読んでみてください。
| 疑問 | 答え |
|---|---|
| 属人化をなくすには、何から? | 止まると困る仕事を選び、その仕事の判断を言葉にする |
| 中小企業で多い属人化は? | 社長自身に仕事と判断が集まっていること |
| マニュアルを作っても聞かれるのは? | 手順だけで、判断の条件が書かれていないから |
| 二人体制にできないときは? | 仕事ではなく判断を分ける。任せる判断と社長に残す判断 |
| 全部なくすべき? | なくす属人化と、会社の財産として残す属人性を分ける |
A.その人が1週間いなかったら止まる仕事を選び、工程に分けて書き出すことから始めます。
全部を一度に書き出す必要はありません。
A.社長がしている判断のうち、毎回同じ答えになるものを条件で書き、任せる範囲を決めます。
会社のお金や方向に関わる判断は、社長に残します。
手順に加えて、「どんな条件なら、どうするか」という判断と、確認が必要な例外を書きます。
A.いいえ。
決まった手順の作業はなくしたほうがいい一方で、お客様との信頼関係や長年の見立ては、会社の財産として残したほうがいい属人性です。
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