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THEME 01|AI活用の前に、社長の仕事を整理する

業務効率化・仕組み化

外注費を減らしても売上を落とさない内製化すべき仕事・外に任せる仕事の見分け方

外注費を減らしても売上を落とさない|内製化すべき仕事・外に任せる仕事の見分け方

内製化か外注かは、
費用の大きさではなく「その仕事に、会社の判断が入っているかどうか」で分けます。1つの仕事を「判断の部分」と「手間の部分」に分け、
お客様の反応や社長の判断基準が詰まっている部分は社内に残し、
手順が決まった部分は外に任せる。この線を先に引いてから外注費を見直すと、
売上につながる部分を手放さずに、
支出だけを見直しやすくなります。

「外注費が毎月かさんでいる。でも、やめたら売上が落ちそうで怖い」

「内製化したほうがいいと言われるけれど、人を採る余裕はない」

外注費の見直しを考えるとき、
多くの経営者が最初に迷うのがここではないでしょうか。外注は便利です。ただ、何を外に出して、
何を社内に残すかを決めないまま広げると、
お金は出ていくのに社長の手元の仕事は減らない、
ということが起きます。

私自身、広告運用を代行会社に長くお願いしていた時期があり、
そこから自分で回す形に切り替えました。コンサル事業では、
外注さんを10名ほど集めてお願いして、
かえって忙しくなったこともあります。どちらの経験からも、
線の引き方で結果が大きく変わると感じています。

この記事では、内製化と外注を見分ける3つの問いと、
外注費を減らしても売上を落とさないための進め方を、
私の経験も交えてお伝えします。

内製化か外注か、まず何で判断すればいいですか?

最初にやることは、
仕事を丸ごと「内製」「外注」に分けるのではなく、
1つの仕事を「判断の部分」と「手間の部分」に分けることです。広告運用なら、「誰に何を言うか」「数字を見て続けるか止めるか」は判断、
「入稿や設定の作業」は手間です。

そのうえで、それぞれの部分を次の3つの問いで見ていきます。

1.社長や社員の判断基準が入っていますか?

どのお客様を優先するか、どの言葉で伝えるか、
どこまで値引きしないか。こうした判断は、
会社の中にある「人に蓄積された知識・経験」そのものです。この部分を外に出すと、判断も一緒に外に出ていきます。

2.そこから出てくる数字や反応を、
次の一手に使っていますか?

広告の反応、問い合わせの内容、商談で断られた理由。これらは「蓄積されたデータ」です。外注先の手元にだけ残っていて、
社内では週1回の報告で見るだけ、
という状態だと、次の判断が遅れます。

3.判断基準を、言葉で渡せる状態になっていますか?

判断基準がきちんと言葉になっていれば、
判断の一部を外にお願いすることもできます。反対に、言葉になっていないまま外に出すと、
確認や相談が社長に戻ってきます。

判定はこうなります。

  • 1か2に当てはまる部分 → 社内に残す
  • どちらにも当てはまらない部分 → 外に任せてよい
  • 社内に残したい部分でも、3が「はい」なら、
    線を決めたうえで外に渡せる

外注費を減らすと、売上も落ちてしまいませんか?

落ちるかどうかは、どこを減らすかで決まります。判断の部分まで手放すと落ちやすく、
手間の部分だけを見直すなら、
売上につながる部分は手元に残せます。

私の会社では、2024年1月から2025年7月まで、
広告運用を代行会社にお願いしていました。代行費は月11万〜22万円です(広告費は別)。

当時は、広告の作成から分析レポートまでを受け取り、
週に1回、テキストで進捗や方向性をやりとりしていました。丁寧に対応していただいていたと思います。

その後、AIが進化してきたこともあり、
代行をやめて自分で回すようにしました。お客様のヒアリングで聞いた言葉をAIに読み込ませて広告の案を出し、
私が調整して、すぐにテストし、
反応が悪ければ止める、という流れです。自社の広告はいま一時的に止めていますが、
お客様の会社の広告は、
今もこの流れで回しています。AIや配信、LP制作などに使うツール費は合計で月約4.2万円です(広告運用以外にも使っている費用で、広告費は含みません)。

自分で回すようになって一番変わったのは、
金額よりも、直すまでの速さでした。代行をお願いしていた頃は、
広告の直しを頼むたびに、
気遣いと待ち時間がありました。それがなくなりました。

振り返ると、広告の中身を決めていたのは、
お客様から直接聞いた言葉でした。これは判断の部分です。外にお願いしていたあいだも、
本当は社内に置いておくべき部分だったのだと思います。

なお、広告にかけるお金をどう見直すかは、
中小企業がマーケティング予算を抑えるには? にまとめています。

なぜ外注やツール導入だけではうまくいかないのですか?

判断基準を渡さないまま外に出すと、
判断が社長に戻ってくるからです。ツールも同じで、
入れただけでは「これでいいですか?」の確認が減りません。

以前、コンサル事業で、
導線づくりやサービスまわりをお願いする外注さんを10名ほど集めたことがあります。皆さん本当にいい方ばかりで、ありがたかったです。

でも、実際に始めてみると、
業務の確認や原稿のやりとりが増えていきました。サポートをお願いしても、
書いていただいた原稿についても、
「これでいいか」の意見や添削を私に求められることが多くなったんです。結果として、私はむしろ忙しくなり、
お金も時間もかかりました。失敗でした。

原因は外注さんではなく、私の段取りでした。マニュアルを作らず、どこまで任せて、
どこから私が見るのか、
判断の基準を渡していなかった。だから、判断が全部私に戻ってきたんです。

外注やツールを増やす前に、判断の部分を言葉にしておく。順番を逆にすると、外注費だけが増えて、
社長の仕事は減りません。この話は AIを入れても社長の仕事が減らない理由 でも詳しく書いています。

社内に残す(内製化する)べき仕事はどれですか?

社長が集中すべき5つの仕事に近いものほど、
判断の部分を社内に残します。

仕事社内に残す部分外に任せられる部分
戦略・優先順位を決める何をやらないか、次の一手を決める調査・情報集め
商品・顧客価値を磨くどこを直すかの判断、お客様の声の読み取り資料・画像の制作
集客・営業を設計する誰に何を言うか、続ける・止めるの判断入稿・設定・配信の作業
既存顧客との関係を育てる誰にいつ何を届けるかの判断配信の作業、日程の調整
人・AI・仕組みに振り分ける振り分けそのもの─

どの仕事にも、判断と手間の両方があります。内製化というと人を増やすイメージがありますが、
戻すのは判断の部分だけで足りることが多いです。

とくに「数字を見て、続けるか止めるかを決める」部分は、
社内に置いておきたいところです。数字は5つの仕事すべての判断材料になるので、
ここが外にあると、
どの仕事の判断も遅くなります。

外に任せてよい仕事は、どう見分けますか?

判断の線を引けた仕事は、外に任せられます。逆に言うと、線を引かないうちは任せきれません。

物販事業をしていた頃、
私は国内外の外注さん20名ほどと、
まとめ役をしてくれるアメリカの秘書さんにお願いしていました。受注が入るたびに依頼をして、
確認の結果をもらい、買い付け、送金の連絡、
発送の連絡、という流れが回っていました。自分で作業はしていなくても、
気持ちはずっと持っていかれていました。

そこで、まとめ役の方には、
リサーチと買い付けの依頼をお任せすることにしました。ただ、お金の判断は任せませんでした。実際に会ったことのない海外の方だったこともあり、
そこは私でないと不安だったからです。

線を引いてからは、仕事は楽になりました。全部を任せたわけではなく、
「ここまでは任せる」「ここからは私」を決めたことが大きかったと思います。

外に任せやすいのは、たとえば次のような仕事です。

  • 手順が決まっていて、判断が少ない作業
  • 専門の技術や設備が必要で、社内で持つと割に合わない作業
  • 時期によって量が大きく変わる作業

これらも、「どこまで任せて、どこから社長に戻すか」の線だけは、
社内で決めておきます。

内製化は「人を採る」ことですか?

必ずしもそうではありません。内製化を「人を採って社内でやること」と考えると、
多くの会社で止まってしまいます。

帝国データバンクが2026年7月に行った調査(全国2万2,350社が対象、有効回答1万518社。大企業も含めた全業種の数字)では、
正社員が不足していると答えた企業は51.3%でした。(出典:帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2026年7月)」)

人を採りにくい中で内製化を進めるなら、
社内に戻した仕事を、
人・AI・仕組みに振り分けます。判断は人が持ち、下書きや集計はAIに任せ、
毎回同じ手順は仕組みにする。私が広告運用を自分に戻せたのも、
人を増やしたからではなく、
下書きと集計をAIに任せて、
判断だけを自分に残したからです。

「データ・専門知識・ノウハウを活かして、人とAIが成果を出せる組織をつくる。」というのは、
私が発信でずっと書いていることですが、
内製化もその一部です。会社の判断とデータを社内に残し、作業を人とAIで分ける。そうすると、外注先が変わっても、
担当者が変わっても、
会社の中に積み上がっていきます。

どの仕事をAIに、どの仕事を人に任せるかは、
AIに任せる仕事・人に任せる仕事の分け方 で詳しく書いています。

内製化はどんな順番で進めればいいですか?

いきなり外注先との契約を全部やめるのではなく、
次の順番で、1つずつ戻していきます。

  1. 外注費を一覧にする:何に、
    毎月いくら払っていて、
    何が戻ってきているか(報告・データ・成果物)を書き出します
  2. 仕事を「判断」と「手間」に分ける:1つの仕事の中で、
    判断が入る部分と作業の部分を分けます
  3. 判断の部分を言葉にする:社長がいつも何を見て決めているかを書き出します。1人で書くより、
    誰かに聞き出してもらうほうが言葉になりやすいです
  4. 振り分ける:判断は社内、手間は外かAIか仕組みへ
  5. 1つずつ戻して、
    数字で確かめる
    :一部を戻したら、
    反応や売上の数字を見てから次へ進みます

売上を落とさないために、いちばん効くのは5番目です。全部を一度に切り替えると、
何が効いて何が効かなかったのかがわからなくなります。早く小さく試して、数字を見ながら直していく。これは私が事業を続けてきて、
ずっと大事にしていることです。

線を引いたあと、どこで止まりやすいですか?

判断と手間を分けて、線を引くところまでは、
社内でもできます。止まりやすいのは、そのあとです。戻した仕事を回しながら、数字を見て直していく。日々の仕事に追われると、ここが後回しになりがちです。

私たちは、目標と成果指標を一緒に決め、
その達成に向けて伴走しています。お客様の会社の広告運用の内製化もお手伝いしています。

線を引いて、外注先とのやりとりに使っていた時間が空いたら、
その時間を、お客様の声を聞くことや、
次にどの商品を磨くかを決めることに向けられます。外注費を見直す本当の意味は、そこにあると思っています。

この記事のまとめ

問い答え
内製化と外注を分ける基準は?会社の判断が入るかどうか
社内に残すのは?誰に何を言うか、数字を見て決める部分
外に任せられるのは?手順が決まった作業、判断の線を引けた仕事
外注やツールだけで失敗する理由は?判断基準を渡さず、確認が社長に戻るから
売上を落とさない進め方は?一部ずつ戻して、数字で確かめる

よくある質問

内製化すると、人件費が増えませんか?

A.社内に戻すのは判断の部分だけで足りることが多いです。手間の部分は、外注やAI、仕組みに任せたままにできます。

仕事を丸ごと戻そうとすると人が必要になりますが、
判断と手間を分けると、
社内で持つ量はかなり小さくなります。

外注先との契約は、すぐにやめたほうがいいですか?

A.いきなり全部をやめるのはおすすめしません。一部を戻して数字を確かめてから、次へ進んでください。

先に判断の部分を社内で持てる状態にしておくと、
切り替えたあとに数字が動いたとき、
何が原因かを社内で追えます。

外注先に判断まで任せたいときは、どうすればいいですか?

A.判断基準を言葉にして渡し、
社長に戻す線(金額の上限など)を決めておきます。

物販の頃の私は、
リサーチと買い付けの依頼は任せて、
お金の判断は自分に残しました。全部を任せなくても、線を決めておけば、
社長は自分にしかできない判断に時間を使えます。

組織データ・専門知識・ノウハウを活かして、人とAIが成果を出せる組織をつくる。

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