ホーム › 読みもの › AIを導入しても社長の仕事が減らない3つの理由|中小企業のAI活用で先に見直すこと › 社長が3日休んでも仕事が進む会社の作り方|任せる前に決める「判断・置き場所・確認の線」

社長が3日いなくても仕事が進むかどうかは、
休む前に①判断の線(誰が、どの基準で決めてよいか)②置き場所の線(どこを見れば分かるか)③確認の線(どこから先は社長に戻すか)の3つが引いてあるかで決まります。任せる人を探すより先に、この3つを言葉にしておきます。
「社長が不在でも会社が回るようにしたい」
ご相談でよく伺う言葉です。ただ、私がこの記事で書きたいのは「社長が休めるようになる方法」だけではありません。
社長の頭の中にしかなかった判断を外に出しておくと、
社長は現場の確認から離れて、
利益とお客様の満足を生む仕事に時間を使えるようになります。3日休めるかどうかは、
その状態になっているかを確かめる、
ひとつの目安です。
この記事は、次の考え方で書いています。
データ・専門知識・ノウハウを活かして、
人とAIが成果を出せる組織をつくる。
A.止まるのは「作業」より「判断」です。作業は誰かが代わりにできても、
決める人がいないと、
その手前で仕事が待ちになります。
見積の金額をいくらにするか。お客様からの少し変わったご要望に、どう答えるか。いつもと違うことが起きたとき、進めるか止めるか。
こうした判断が社長の頭の中にしかないと、
社長がいない3日間、仕事は止まるか、
社長の携帯に届きます。休んでいるはずなのに、ずっと連絡を見ている。これでは、いないことになっていません。
私も起業してすぐの頃、
物販をしていたときに同じ状態でした。
外注さんは国内外で20名ほど。受注が入るたびに、外注さんへ依頼して、
確認の結果をもらい、買い付けて、送金の連絡、
発送の連絡をもらう。その流れとは別に、
まとめ役の秘書さんとのやりとりや、
出品を担当する外注さんとのやりとりもありました。
自分で作業はしていなくても、
気持ちはずっと持っていかれていました。作業を手放すことと、判断を手放すことは、
別のことだったんです。
A.判断の基準を渡さないまま人を増やすと、
作業は減っても、
確認と相談が社長に戻ってくるからです。
コンサルの事業をしていた頃、
導線づくりやサービスまわりを外注さん10名ほどにお願いしたことがあります。いい方ばかりで、本当にありがたかったです。
でも、「こんなふうにアドバイスしたけど、どう思いますか?」「原稿を書いたけれど、どうですか?」と、
意見や添削を求められることが増えて、
むしろ忙しくなってしまいました。
外注さんが悪かったのではありません。私がマニュアル化や段取りをしていなかった。何を、どの基準で判断すればいいかを渡していなかったので、
毎回私に聞くしかなかったんです。お金も時間もかかって、これは失敗でした。
社長が不在でも会社が回る状態は、人の数では決まりません。社長の頭の中にある判断が、外に出ているかで決まります。
A.「判断の線」「置き場所の線」「確認の線」です。社長やベテランの頭の中にある経験と、
社内に散らばっている記録を、
ほかの人が使える形にする作業です。
最初に、社長が毎日している判断を書き出します。そのうえで、「この条件なら、あなたが決めていい」という線を引きます。
物販のとき、私はまとめ役の秘書さんに、
リサーチと買い付けの依頼をお任せしました。一方で、お金の判断は任せませんでした。アメリカの方で、
実際にお会いしたことがない方だったので、
そこは私でないと不安だったからです。
任せる範囲と、自分に残す範囲を分けたら、
仕事は楽になりました。
全部を任せる必要はありません。「ここまでは任せる」「ここから先は残す」が決まっていることが大事です。
書き出すときは、
「前にも同じことを聞かれた判断」から始めるのがおすすめです。毎回同じ答えをしているなら、
それはもう基準になっています。言葉にして渡せば、次からは聞かれなくなります。
判断の基準があっても、
判断に必要な情報が社長の頭やスマホの中にあると、
結局は社長に聞くことになります。
お客様とのこれまでのやりとり、見積の履歴、
前回どう対応したか。こうした「蓄積されたデータ」が、
LINE・メール・紙のメモ・社長の記憶に散らばっていると、
社長がいない日は誰も見られません。
置き場所の線は、
「この判断をするときは、ここを見る」と決めることです。新しいツールを入れる前に、まず置き場所を1つに決めます。
私の会社では、前日に起きたことと、
私の判断待ちになっていることを、
毎朝メールにまとめて届く形にしています(自社・2026年10月時点)。私が最初に見るのはそのメールです。どこを見れば分かるかが決まっていると、
自分が見る場所も少なくて済みます。
最後に、「これが起きたら社長に連絡する」という線を引きます。
たとえば、決めた金額を超えるとき。初めてのお客様の大きなご依頼。クレームにつながりそうなとき。こうした条件を先に書いておけば、
それ以外は社長に戻ってきません。
私の会社は、いまは私1人とAIで回しています。それでも、公開・送信・広告の配信を押すことと、
お客様への個別の返信は、
私が確認する線の内側に残しています。逆に言えば、それ以外は線の外で進められるようにしています。人に任せるときも、AIに任せるときも、
線の引き方は同じです。
確認の線が無いと、
任された側は「念のため聞いておこう」となります。悪気はなく、どこまで自分が決めていいのかが分からないからだと思います。線があれば、聞かなくていいことが分かります。
A.ツールも外注も、
渡された基準の範囲でしか動けないからです。基準が社長の頭の中にある限り、
AIを入れても人を増やしても、
判断は社長に戻ってきます。
私の外注10名の失敗は、まさにこれでした。AIに仕事を渡すときも、
基準が言葉になっていなければ同じことが起きます。どんなに良い道具や良い人がいても、
最後は社長の確認待ちになります。
なぜAIを入れても社長の仕事が減らないのかは、
こちらの記事で詳しく書いています。
A.1週間、社長に来た質問と確認を書き出すところから始めます。そのうえで、3つに分けて、線を引いていきます。
戻ってきた質問は失敗ではありません。まだ言葉になっていなかった判断が見つかった、
ということです。
私自身は、仕事から何日も離れたことはありません。ただ、物販をしていた頃を振り返ると、
外注さんに作業をお願いしていても、
どの業務も最後のところは私の確認が必要でした。上の1で書き出すのは、まさにこういう「最後の確認」です。
判断が社長に集まっていないかを確かめる方法と、
社長以外でも判断できるようにする手順は、
こちらにまとめています。
権限委譲が進まない会社の共通点|任せたのに社長に戻ってくる仕事を減らす
「あの人しか分からない」仕事を仕組みにする手順は、
こちらです。
属人化をなくすには?中小企業で「あの人しか分からない」を仕組みにする手順
A.利益と顧客価値を生む仕事に使います。私は、社長が集中すべき仕事を5つに分けています。
3つの線を引く作業そのものは、
5つ目の「人・AI・仕組みに振り分ける」にあたります。そして線を引いて空いた時間は、1〜4に戻します。
私がAIや仕組みを使って一番よかったと思っているのは、
作業の時間が短くなったこと以上に、
お客様とのコミュニケーションや、
事業の方向性を考える時間に集中できるようになったことです。
社長が3日休めるようになること自体がゴールではありません。社長や優秀な社員が、現場の確認ではなく、
もっと利益とお客様の満足を生む仕事に力を使える会社にすること。休めるかどうかは、
そのための準備ができているかを確かめる目安です。
3つの線は、一度引いたら終わりではありません。試してみて、戻ってきた質問を見て、引き直す。その繰り返しで、社長の手元に残る判断が、
本当に社長が決めるべきものだけになっていきます。
私は、目標と成果指標を一緒に決めて、
その達成に向けて伴走しています。社長の頭の中にある判断を一緒に言葉にして、
どこに置くか、どこから先を社長に戻すかを決め、
実際に回しながら直していきます。決めるのは社長ですが、
そのための材料を整えて、
隣で一緒に考える役割です。
| 3つの線 | 決めること |
|---|---|
| 判断の線 | 誰が、どの条件なら決めてよいか |
| 置き場所の線 | その判断のとき、どこを見ればよいか |
| 確認の線 | 何が起きたら社長に戻すか |
| 試し方 | 半日→1日→3日と延ばし、戻ってきた質問で引き直す |
| 空いた時間 | 戦略・商品・集客・既存のお客様に向ける |
A.判断の基準と置き場所が無いまま休むと、
負担がかかります。だから休む前に3つの線を引きます。
基準があれば、社員は「自分が決めていいのか」と迷う時間が減ります。何を決めていいか分からないまま任されるほうが、
負担は大きくなります。
A.全部を任せる必要はありません。どこまで任せて、
どこから社長に戻すかを決めておくことが大事です。
私も物販のとき、お金の判断は自分に残していました。金額の上限を決めて、
それを超えたら社長に戻す、
という線の引き方もあります。
A.一人で書こうとせず、まず1週間、
社長に来た質問をメモしてください。答えを並べると、
社長がいつも同じ基準で決めていることが見えてきます。
頭の中にある判断は、
本人が書こうとすると「当たり前すぎて」出てこないことが多いです。聞かれた質問と答えを並べるか、
誰かに聞き出してもらうほうが、
言葉になりやすくなります。
組織データ・専門知識・ノウハウを活かして、人とAIが成果を出せる組織をつくる。