ホーム › 読みもの › AIを導入しても社長の仕事が減らない3つの理由|中小企業のAI活用で先に見直すこと › 動画制作の内製化はAIでどこまでできる?録画なしでも作れる流れと、外注と比べるときの費用の見方

動画制作の内製化(社内で作ること)は、
AIに「作る手間」を任せ、
「何を、誰に伝えるか」と「出してよいかの最後の確認」を社内に残せば、
録画や撮影がなくても進められます。台本を書き、合成音声(文章を読み上げてくれる人工の声)で読み上げ、
スライドや絵に合わせて動画にまとめるところまでは、
AIと仕組みにかなりの部分を任せられます。反対に、伝える中身と最後の確認まで手放すと、
「これでいいですか?」の確認が社長に戻ってきます。
「動画を作りたいけれど、撮影も編集もできる人が社内にいない」
「外注すると1本ごとに費用がかかるし、直しを頼むたびに日数がかかる」
動画の話になると、よく聞くのがこの2つです。私もエンジニアではありませんし、
プログラミングの知識もありません。それでも今は、説明動画や、
申し込みページに載せる動画を、
自分の会社の中で作っています。多くは撮影も録画もせずに作り、
録画した動画があるときは、
それを編集して使います。
この記事では、動画のどこまでをAIに任せられて、
どこを人に残すのか、
外注費と比べるときに何に気をつけるのかを、
私が実際に動画を作っている流れに沿ってお伝えします。
動画づくりのうち、
「手順が決まっている部分」をAIと仕組みに任せられるようになります。「何を伝えるか」を決める部分は、今も人の仕事です。
私の会社での分け方は、次のとおりです。
| 工程 | AIと仕組みに任せている部分 | 人(私)に残している部分 |
|---|---|---|
| 企画 | 似たテーマの記事や過去の原稿を集める | 誰に向けて、何を伝える動画にするか決める |
| 台本 | 下書きを出す、文字数から長さを見積もる | 自分の言葉に直す、言ってはいけないことを削る |
| 声 | 台本を合成音声で読み上げる | 読み方や間の違和感を聞いて直す |
| 絵・スライド | 図やスライド、背景の絵を作る | 伝えたいことと合っているか見る |
| 仕上げ | 声に合わせて字幕を出し、1本の動画にまとめる | ─ |
| 確認 | 画面を1枚ずつ取り出して、 字幕と絵の重なりや文字の読みやすさを点検する | 公開してよいかを決める |
AIが引き受けているのは「作る手間」で、
何を伝えるか、出してよいか、
という判断はずっと私に残っています。
これまでに作った動画は、
約7分(スライド23枚)の説明動画、
約12分(17枚)と約18分(26枚)の申し込みページ用の動画などです。どれも撮影や録画はせず、台本と合成音声から作りました。
以前は、動画を作ろうとすると、
道具の使い方を調べたり、
細かい調整をしたりするところで手間がかかって、
そこで手が止まっていました。今は、道具を自分でさわったり、
微調整を繰り返したりする手間が、
ほとんどかからなくなりました。
作れます。私がいつもやっている流れは、次の5つです。
正直に書いておくと、
4番目に使っている道具(Remotion)は、
プログラムを書いて動画を作る仕組みです。私はプログラムを書けないので、
AIに作業を頼める道具(Claude Code)に、
組み立てから直しまでを頼んでいます。ゼロから自分で組むのは、
パソコンが得意な人でも手間がかかると思います。
これから始めるなら、選び方はおおまかに3つです。
やってみて分かったのは、
動画の長さは台本の文字数でほぼ決まるということです。私が使っている読み上げの声で測ると、
そのままだと1分あたり約410字とかなり早口です。落ち着いた話し方に速さを落とすと、
1分あたり約350字になりました(声や道具が変われば数字も変わります)。10分の動画なら、台本は3,500字ほど。先に文字数を決めておくと、
作ってから「長すぎた」とやり直すことが減ります。
縦長と横長の両方が必要なときは、別々に作ります。横長の動画を縦長に置き直したら、
文字が小さくなりすぎて、
スマートフォンでは読めなかったからです。
撮った動画がある場合は、
「文字起こし」「切る場所の候補出し」「字幕を付ける」の3つを、
AIと仕組みに任せられます。どれも手順がはっきりしている作業だからです。どこを実際に切るかは、最後に人が決めます。
私の会社では、録画の動画を、
話しかけるように指示して編集できる仕組みを用意しています。話した内容をAIが文字にして、
切る場所の候補を出し、
私がどこを残すかを決めて、
字幕を付けて仕上げる流れです。
言い直しや言いよどみも、
自動では切らないようにしています。言い直した部分に、
大事な一言が入っていることがあるからです。
撮影や録画をせずに作る動画とは別に、
録画した動画をこの方法で編集したこともあります。編集の道具を自分で操作したり、
切る位置を細かく合わせ直したりする手間がかからなくなり、
苦手だった編集に手が付けられるようになりました。
外注では依頼ごとにかかっていた費用が、
内製では道具の月額と、
使う分だけの道具代に変わります。比べるときは、次の3つを並べて見てください。
1.今の外注費
外注の費用は、どこまで頼むかで大きく変わります。参考までに、発注先を探せるサービスのPRONIアイミツが、
自社の取引データ(2022年1月〜2025年11月)から集計した動画編集の費用は、
平均約13万6,000円、
中央値10万円でした。(出典:PRONIアイミツ「動画編集の費用相場」2026年1月9日更新)企画や撮影まで頼むかどうかで、
金額の幅はもっと広がります。
私自身は、動画の制作や編集だけを外注したことはありません。広告の動画は、2024年1月から2025年7月まで広告運用をお願いしていた代行会社に、
運用費(月11万〜22万円・広告費は別)の中で作ってもらっていました。その後、AIを使って広告運用を自分で回す形に切り替え、
代行はやめました(自社の広告は今は止めています)。代行をやめたのは広告運用全体を手元に戻すためで、
動画だけの判断ではありません。ですから私の場合、
浮いたのは「動画の外注費」ではなく、
広告の動画も含んでいた「広告運用の代行費」で、
その分はプライベートやほかの投資に回しました。ウェビナーやサイトに載せる動画は作りたかったものの、
録画も編集も面倒で苦手で、
手を付けられずにいました。
2.道具の月額
社長1人で回している私の会社では、
AIはClaudeの月額定額の「マックスプラン」(月110ドル、1万6千円ほど)を使っていて、
動画づくりにもこれを使っています。ほかに、絵づくりなどに使うChatGPTの有料プランが月22ドル(3,500円ほど)。定額で払っているのは、この2つで月2万円ほどです。そのほか、動画編集や音声づくりの道具には、
使う月だけ必要な分を払っていて、
金額は月によって変わります(2026年10月時点。記事の下書きなどほかの用途も同じプランの中で使っていて、申し込みページや配信に使う道具の費用は別)。
3.会社の人数で増える使用料
ここは見落としやすいところです。道具によっては、会社の人数で使用料の条件が変わります。たとえば、私が動画をまとめるのに使っている Remotion は、
個人や、社員3人以下の会社は無料ですが、
それより大きい会社は会社向けの有料契約が必要です(2026年10月時点の公式の利用条件。出典:Remotion License)。社員が4人以上いる会社なら、
私の月額にこの分が上乗せされます。
金額のほかに、もう1つ変わるのが「直すまでの速さ」です。これは動画より先に、
広告運用を代行会社から自分の手元に戻したときに経験しました。代行をお願いしていた頃は、直しを頼むたびに、
気遣いと待ち時間がありました。自分で回すようになって、それがなくなりました。動画も同じで、1行直したければ、
その場で直して作り直せます。
どの仕事を社内に戻し、
どの仕事を外に任せるかの考え方は、
外注費を減らしても売上を落とさない|内製化すべき仕事・外に任せる仕事の見分け方 にまとめています。
「何を伝えるか」が決まっていないまま作り始めると、
ツールでも外注でも、
確認が社長に戻ってくるからです。
外注なら「この内容で合っていますか?」と聞かれます。AIなら、それらしい台本が何本でも出てきて、
どれがいいかを社長が選ぶことになります。どちらも、手は動いているように見えて、
判断はあまり減りません。
動画で伝える中身は、本来、社長や社員の頭の中にあります。お客様によく聞かれること、
商談で何度も説明していること、
選ばれている理由。ここが言葉になっていれば、
台本の下書きはAIに任せられます。言葉になっていなければ、
何本作っても「何か違う」が続きます。
この話は、AIを入れても社長の仕事が減らない理由 でも詳しく書いています。
次の4つは、AIが進化しても人が持っておくところだと考えています。
1.誰に向けて、何を伝えるか
同じテーマでも、
まだ迷っているお客様に向けるのか、
もう買ってくださったお客様に向けるのかで、
話す順番が変わります。ここは会社の判断です。
2.AIが作った土台を、自分の言葉に直すこと
AIの台本は、そのまま読むと、
どこかで聞いたような話になります。言い回しを少し直すだけで、その会社らしさが戻ってきます。私が一番時間をかけているのは、ここです。
3.公開してよいかの最後の確認
数字や事例が正しいか、
お客様が特定されないか、言いすぎていないか。ここは必ず人が見ます。
4.使う声と道具の約束ごと
自分以外の声を使うなら、その人の許可が要ります。道具の使用料の条件も、始める前に確かめておきます。
新しく考えるより、
会社の中にすでにあるものから作るほうが、
中身の濃い動画になりやすいです。
私は、会社の中に眠っている財産を「顧客・取引先とのつながり」「信用・実績」「顧客の声・成功事例」「蓄積されたデータ」「仕組み・ノウハウ」「人に蓄積された知識・経験」の6つに分けて考えています。このうち動画にしやすいのは、次の3つです。
たとえば、商談のたびに10分かけて説明していることがあれば、
それを1本の動画にしておくと、
商談の前に見てもらえます。社内向けなら、新しく入った人に何度も同じ説明をしている手順を動画にしておけば、
教える側の時間が空きます。
私も、HPに書いた記事やnoteをもとに台本を作ることが多いです。1つのテーマを、記事にも動画にも使っています。
社内の知識を動画という形で残しておけば、
担当者や外注先が変わっても、
会社の中に積み上がっていきます。私が「データ・専門知識・ノウハウを活かして、人とAIが成果を出せる組織をつくる。」と言い続けているのは、
こういう積み上がり方をつくりたいからです。
いきなり外注をすべてやめるのではなく、
次の順番で1本ずつ試していきます。
動画は、作ることが目的ではありません。伝わったか、商談や教える時間が変わったかを確かめずに本数だけ増やすと、
手間が外注先からAIの作業に移っただけになります。
作り方そのものは、道具を整えれば社内でも回せます。止まりやすいのは、その前とあとです。何を動画にするかを決めることと、
作った動画が成果につながったかを数字で見て直していくこと。日々の仕事に追われると、ここが後回しになりがちです。
私がお客様と進めるときも、
最初に「何を目指すか」と「それに近づいているかを見る数字」を一緒に決めてから動きます。動画も、どのお客様に何を届けるための1本なのかを先に決めておくと、
作ったあとに確かめやすくなります。
動画を外注している会社なら、
編集や生成をAIに任せられた分の外注費から、
道具の月額を引いた残りが浮く見込みがあります。時間は、最初の準備にかかる分を越えれば、
直しのやりとりに使っていた分が空いていきます。その分を、お客様の声を聞くことや、
次にどの商品を磨くかを決めることに回すこともできます。
ただ、私が自分で作るようになって一番変わったのは、
お金のことではありませんでした。動画を、会社の中に溜めていけるようになったことです。1本作って終わりではなく、説明動画、
申し込みページの動画と、
少しずつ積み上がっていく。動画の内製化で本当に変わるのは、そこだと思っています。
こうした「どこにお金と時間をかけ直すか」の見直しの考え方は、
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| 問い | 答え |
|---|---|
| AIで内製化すると何ができる? | 台本の下書き・声・スライド・字幕・仕上げ・見た目の点検 |
| 録画なしでも作れる? | 作れる。台本→声→スライド→まとめる→確認の5つ |
| 録画があるときは? | 文字起こし・切る場所の候補出し・字幕はAIに任せ、 どこを切るかは人が決める |
| 費用はどう比べる? | 今の外注費・道具の月額・会社の人数で増える使用料の3つを並べる |
| ツールや外注だけで失敗する理由は? | 何を伝えるかが言葉になっておらず、確認が社長に戻るから |
| 人に残すことは? | 誰に何を伝えるか、言葉の手直し、 公開してよいかの確認、声と道具の約束ごと |
A.作れます。私の動画も、顔は出していません。
顔の代わりに、図やスライドと字幕で中身を伝えています。お客様によく聞かれることに具体的に答える動画から始めると、
顔を出さなくても話の中身で見てもらいやすいと考えています。
A.最初の準備(道具を入れて動くようにするところ)が、
いちばんの山です。そこを越えれば、
日々の作業は台本を書いて直すことが中心になります。
私もプログラミングの知識はなく、
準備はAIに手伝ってもらいながら進めました。手軽に始めたいなら、
原稿を入れると声付きの動画にしてくれるサービスから試すのも1つの方法です。
A.いきなり全部をやめるのはおすすめしません。まずは1本、社内で作ってみて、
伝わり方と手間を比べてから決めてください。
撮影が必要な動画や、凝った演出が要る動画は、
外にお願いしたほうがよい場合もあります。社内で作る動画と外にお願いする動画を分けておくと、
質を保ちながら外注費を見直しやすくなります。
組織データ・専門知識・ノウハウを活かして、人とAIが成果を出せる組織をつくる。