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STEP 02 設計

業務効率化・仕組み化

社長にしかできない仕事は、思っているより少ないかもしれません

社長にしかできない仕事は、思っているより少ないかもしれません

「これは私にしかできない」

私自身、以前はかなりそう思っていました。

結論からいうと、社長にしかできない仕事は、会社が進む方向を決めること、答えのない判断をすること、その結果に責任を持つことの3つです。

「私にしかできない」と感じている仕事も、工程に分けてみると、社長が必要なのは一部だけということがよくあります。

この記事では、仕事を分解して「本当に社長に残るもの」を見極める方法と、任せたはずの仕事が社長に戻ってくる理由を、私自身の経験とあわせて紹介します。


社長にしかできない仕事とは?

社長の役割は、会社で一番たくさん作業することではありません。

社長にしかできない仕事は、次の3つです。

1つ目は、方向を決めること。
何を伸ばして、何をやらないか。
誰に、何を、いくらで届けるか。
会社の行き先を決める立場にいるのは、社長だけです。

2つ目は、答えのない判断をすること。
前例のない投資、撤退、値上げ、採用。
正解が分からないことを、最後に選ぶ仕事です。
判断の材料を集めるのは任せられても、選ぶところは任せられません。

3つ目は、その結果に責任を持つこと。
うまくいかなかったときに引き受けて、次の手を打つ。
責任だけは、社員にも外注先にもAIにも渡せません。

ただ、この3つが分かっても、明日からの自分の仕事のどれを手放せばいいかは、すぐには分かりません。

「方向を決める」と「メールを返す」は、社長の一日のなかで混ざっているからです。


なぜ社長は「何でも自分でやる」ようになるのか?

小さな会社では、社長が一番仕事ができることも多いと思います。

営業もできる。
文章も書ける。
お客様対応もできる。
だから、何でも自分でやれてしまう。

人に説明するより、自分でやったほうが早い。

これが毎日積み重なると、社長の一日は作業で埋まっていきます。

私も2019年ごろは、集客の仕組みはできていても、広告・メルマガ・LINE・お客様対応・商品の改良を、ほぼ一人で回していました。


「私にしかできない仕事」は、分解するとどうなる?

仕事を丸ごと見ない

例えば「営業」という仕事があります。

営業は社長しかできない。
そう思っていても、分けてみると、こうなります。

営業の工程社長が必要か渡し先の例
見込み客を探すなくてもよいAI・仕組み(条件に合う会社を集める)
会社を調べるなくてもよいAI(1社ごとの仮説を下書き)
連絡文を作る型を決めるのは社長AIが下書き → 社長が確認
日程調整するなくてもよい予約カレンダー・人
事前資料を作るなくてもよいAI・人
商談する会社による社長が出るか、任せた人が出るかを決める
提案書を作る最後の判断は社長AIや人がたたき台 → 社長が決める
フォローするなくてもよい決まった流れの配信・人

この中で、本当に社長しかできないのはどこでしょう。

商談や最終提案には、社長が出たほうがいい場面があるかもしれません。
でも、リサーチや資料作成まで社長がする必要はありません。

「分解」すると渡せる仕事が見えます

私は業務を見るとき、なるべく細かく分けます。

丸ごと「私しかできない」ではなく、どの部分なら渡せるかを見る。

人に渡す。
AIに渡す。
テンプレートにする。
なくす。

そうすると、社長がやるのは最後の確認と判断だけ、ということもあります。

業務の分け方そのものは、AIに任せる仕事と人に残す仕事の分け方で、書き出し方から紹介しています。


社長がほかの仕事を手放していくと、何が残る?

私の会社でも、集客から成約までの仕事を一つずつ分けて、AIと仕組みに移してきました。

移した仕事は41あります。
記事やSNSの下書き、営業先のリスト集め、登録してくださった方への配信、毎朝の状況のまとめなどです。

それでも、移さずに私に残しているものがあります。

  • 何をやるか、何をやめるかを選ぶこと(AIは選択肢を出すところまで)
  • 公開・送信・広告の配信をしてよいかを決めること
  • 営業メールを送るかどうかの判断(1社ずつ確認する)
  • 結果への責任

並べてみると、最初の表の「方向を決める・答えのない判断をする・結果に責任を持つ」と同じところに残っています。

社長にしかできない仕事は、最初から探すより、ほかを渡していって最後に残ったものを見るほうが、はっきりします。

企業診断のフィードバックは、今も私がしています。
これは「社長にしかできない」からではなく、自分で持つと決めている仕事です。


社長にしかできない仕事は、どうやって見極める?

自分しかできない仕事は、最後に残せばいい。
私はこう考えています。

順番は、分解する → やめられるものを消す → AIや仕組みに渡す → 人に任せる。
それでも残った仕事が、本当に社長にしかできない仕事です。

残すか渡すかで迷ったら、分けた工程の一つひとつに、次の3つの問いを当てます。

  1. この工程で、会社の進む方向が変わるか? 変わるなら、社長に残します。
  2. 正解がなく、誰かが選ばないと進まないか? 選ぶ必要があるなら、選ぶところだけ社長に残し、材料集めは渡します。
  3. 判断基準を言葉にすれば、ほかの人やAIでも同じように進められるか? 進められるなら、渡せます。

1と2が「いいえ」で、3が「はい」の工程は、社長でなくても回ります。
まだ判断基準を言葉にしていないだけの仕事も、ここに入ります。
言葉にしてから渡します。
左の列に残ったものも、結果の責任は社長が持ったまま、作業だけ渡せることがあります。

「営業」「採用」「お客様対応」のような大きな単位のままでは、どれも「私にしかできない」に見えてしまいます。
分けてから問いを当てると、見え方が変わります。

渡すと決めた工程を、そもそも続けるのか、誰がやると一番いいのかの決め方は、社長の仕事は、AIの前に見直すに書きました。


なぜ、外注やAIツールを入れるだけでは社長の仕事は減らないのか?

任せたはずの仕事なのに、気持ちや判断が社長から離れない。
私自身も経験しています。

物販をしていたころ、1日に100〜200品を扱い、外注さんを20名ほどお願いしていました。
まとめ役の秘書さんもいました。

受注が入るたびに、外注さんへの依頼、確認の結果の受け取り、買い付け、送金の連絡、発送の連絡、という流れが回っていました。

作業からは離れられました。
でも、気持ちはずっと持っていかれていました。

お金の判断は、最後まで自分に残していました。
まとめ役の秘書さんは海外の方で、実際に会ったことがなかったので、そこは私でないと不安だったからです。

そこで変えたのは、リサーチと買い付けの依頼を、まとめ役の方に任せたことです。
お金の判断は自分に残したまま、「任せるのはここまで」と決めました。
仕事は楽になりました。

どこまでを任せて、どこからを自分が持つのか。
私の場合は、その線を決めたことで楽になりました。

AIでも、似たことがありました。

「良い広告コピー」を言葉にできていなかったときは、AIに書かせても使えるものになりませんでした。
「スクロールを止める1行目」「比べられないための2行目」と分けて言葉にできたとき、はじめて渡せました。

渡せるかどうかを分けたのは、AIの性能ではなく、判断基準が言葉になっていたかどうかでした。

仕事を手放す前に、次の3つを書き出しておくと、任せた先が迷いにくくなります。

  • 何ができたら「完了」か
  • 迷ったとき、何を優先するか(スピードか、丁寧さか、利益か)
  • どこから先は、社長に相談してほしいか

AIで業務を減らしたのに社長が楽にならない理由は、AIを導入しても、社長の仕事が減らない3つの理由でもくわしく書いています。


「AIを入れたい」と思ったとき、先に整理することは?

何年も前から知っている経営者の方から、伴走のご依頼をいただいたことがあります。

最初のご相談は「AIを導入したい」でした。

でも、チームの皆さんからお話を伺うと、整理が必要だったのはAIではなく、利益の構造、商品の設計、顧客情報の管理、そして社長にしかできない仕事の整理でした。

一つずつ整理していったところ、「今やるべきことが見えました」と言っていただけました。

AIや人に渡す前に、社長が何を持っていて、何を手放せるかを見る。

ここを飛ばすと、ツールを入れても、人を増やしても、社長の忙しさはあまり変わりません。

業務効率化をどこから始めるかは、AIを用いた業務効率化の進め方にもまとめています。


社長にしかできない仕事のほかに、手元に残していい仕事は?

「社長にしかできない」わけではなくても、社長が自分で持つと決めていい仕事はあります。
渡せるかどうかではなく、社長が持つと選んでいるかどうかの違いです。

  • お客様と直接話す場面のうち、社長が出ることに意味があるもの:長くお付き合いのあるお客様、大きな判断が絡む商談
  • 渡した仕事の判断基準を見直すこと:基準を決めるのは「方向を決める」の一部。基準どおりに動くのは任せた先

大事なのは、何となく抱えているのではなく、「これは自分で持つ」と決めて持っていることです。
決めて持っている仕事は、ほかの仕事を手放す邪魔になりません。


この記事のまとめ

疑問答え
社長にしかできない仕事とは?方向を決める、答えのない判断をする、結果に責任を持つ
「私にしかできない」仕事はどうする?工程まで分解すると、社長が必要なのは一部だけのことが多い
どう見極める?工程に分けて「方向が変わるか・誰かが選ぶ必要があるか・判断基準を言葉にして渡せるか」を当てる。残ったものが社長の仕事
任せても気持ちや判断が離れないのはなぜ?どこまで任せるかの線と判断基準が、決まっていないから
ほかに手元に残していいものは?自分で持つと決めた仕事(社長が出ることに意味のある商談など)

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よくある質問

社長にしかできない仕事は、いくつありますか?

方向を決める、答えのない判断をする、結果に責任を持つ、の3つです。
それ以外の作業は、工程に分けると人やAI、仕組みに渡せる部分が見つかります。

小さい会社の社長が現場の仕事をするのは悪いことですか?

悪いことではありません。
人数が少ない会社では、社長が現場に入る場面はあります。
全部を抱えるのではなく、どの工程を自分が持つかを決めて、それ以外を手放していけば十分です。

社長が仕事を任せるときに、やってはいけないことは?

どこまで任せるかと判断基準を決めないまま、仕事を丸ごと渡すことです。
任せた先が迷うたびに、判断が社長に戻ってきます。

人を雇う余裕がない場合は、どこに渡せばいいですか?

人に渡す前に、「やめる」と「AI・仕組みに渡す」を先に考えます。
毎回同じ手順の仕事は、判断基準を言葉にできれば、AIや決まった流れの配信、予約カレンダーなどに渡せます。

任せたのに、結局自分で判断してしまうときは?

任せた仕事を一つ選び、「何ができたら完了か」「迷ったら何を優先するか」「どこから先は相談してほしいか」の3つを書いて渡してみてください。
線より手前の判断は、任せた先に預けます。

ここまで読んでくださって、ありがとうございます。
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この記事は、ストック経営の3ステップのうち STEP 02 設計 の話です。

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