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THEME 02|すでにある資産を、売上に変える

利益改善・外注費削減

固定費削減の進め方中小企業が削る前に分けておきたい「成果につながっていない」支出

固定費削減の進め方|中小企業が削る前に分けておきたい「成果につながっていない」支出

固定費の削減は、費目ごとに安くする前に、
毎月の支出を「成果につながっている」「社内のもので置き換えられる」「やめても困らない」の3つに分けるところから始めます。家賃・通信費・ツール代・外注費を同じ物差しで削ると、
売上やお客様の満足を支えている支出まで削ってしまうからです。分けておくと、空いたお金と社長の時間を、
長くおつきあいいただいているお客様へのご連絡や、
商品をもっと良くする仕事に回せます。

この記事で分かること

  • 固定費とは何か、会社の固定費にはどんなものがあるか
  • 削る前に支出を3つに分ける方法と、見直す順番
  • 削ったあとに空いたお金と時間を、どこに向けるか

「物価も人件費も上がって、毎月の支払いが重くなってきた」

「どこから削ればいいのか。削って売上が落ちないか不安」

固定費の削減を調べている経営者の方は、
こんな状態ではないでしょうか。

固定費とは?会社の固定費にはどんなものがありますか?

固定費とは、売上が増えても減っても、
毎月ほぼ同じ額が出ていく費用です。売上に合わせて増えたり減ったりする仕入れや材料費は、
変動費と呼びます。

種類会社の固定費の例
場所家賃・地代・リース代
人給与・社会保険料・業務委託の月額報酬
道具通信費・ソフトやクラウドの月額料金・保守料
外の力広告運用代行・制作会社・顧問料などの月額契約
その他水道光熱費・保険料・減価償却費

一度下げると毎月効くのが、固定費の良いところです。反対に、間違って削ると、その損も毎月続きます。

固定費は、どこから削ればいいですか?

最初にやるのは、費目を安くすることではなく、
毎月の支出を次の3つに分けることです。

分け方当てはまる支出すること
成果につながっているお客様の満足・問い合わせ・成約・継続を支えている守る(増やす候補にもなる)
社内のもので置き換えられる社内のノウハウ・データ・道具で代わりができる外注やツール置き換え先を作ってから減らす
やめても困らない使っていないツール・誰も見ない資料・惰性の契約やめる

分けるときは、支出1つずつに「これが無くなったら、どの数字が下がるか」を書きます。問い合わせ・成約・継続・作業時間のどれも答えられないものは、
「やめても困らない」の候補です。

成果につながっているか分からない支出もあると思います。それは、支出と成果を結ぶ数字が記録されていない、
ということです。削るか守るかを決める前に、
1〜2か月だけ数字を取ってみてください。広告費の確かめ方は、
広告費が無駄になる5つのパターンと、
代理店を変える前に見る数字
に書きました。

削ってはいけない固定費はありますか?

あります。お客様の満足と、
もう一度選んでいただける理由を支えている支出です。

見分けるには、「どのお客様の、何を支えている支出か」を一言で書いてみてください。書けるものは、守る側です。

たとえば、次のような支出です。

  • 長くおつきあいいただいているお客様への連絡・フォローにかかる費用
  • 商品やサービスの品質を保つための道具や学び
  • 問い合わせから成約までの流れを支えている仕組み

これらを一律に削ると、その月の数字は良く見えます。ただ、効いてくるのは後からです。お客様が離れたことに気づくのは、
たいてい数か月たって、
継続や紹介の数を見たときです。粗利をどこから見直すかは、
売上はあるのに利益が残らない会社が最初に見直す5つの場所にまとめました。

社内のもので置き換えるとは、どういうことですか?

外にお金を払ってやってもらっている仕事のうち、
社内にすでにある知識や道具でできるものを、
社内に戻すことです。

私の会社の例です。2024年1月から2025年7月まで、
広告運用を代行会社にお願いし、
月11〜22万円をお支払いしていました。今は自社で使うツールの費用が月約4.2万円です(2026年)。いちばん高かった月と比べると、最大80%減りました。

項目以前いま
毎月の支払い広告運用の代行会社に月11〜22万円(2024年1月〜2025年7月)自社のツール費 月約4.2万円(2026年・広告運用以外の用途も含む)
減った割合—最大80%(11万円の月と比べると約62%)

広告費そのものは、どちらにも含みません。4.2万円には、
申し込みページ(LP)・メールとLINEの配信・原稿の下書きに使うツール代も入っています。合同会社めぐみ1社の数字なので、
どの会社でも同じ割合になるとは限りません。

社長の時間はどうなったか。時間は記録していないので数字では言えません。実感としては、手間も工数もさほど増えずに、
自社だけでなくお客様の仕組みも回せるようになりました。直したいところが見つかるたびに、
お願いして待つ時間とやり取りの手間がなくなったのが大きかったです。

置き換えられたのは、
ツールが新しかったからではありません。「良い広告とは何か」を、
「スクロールを止める1行目」「比較させない2行目」のように言葉に分けられたからです。判断の基準が言葉になっていない仕事は、
ツールに渡しても使えるものになりませんでした。

社内に戻すか外に任せるかの線の引き方は、
内製化すべき仕事・外に任せる仕事の見分け方に書きました。

固定費削減は、どんな順番で進めればいいですか?

次の5つの順番で進めます。

  1. 3か月分の支出を1枚に並べる:通帳・カードの明細・請求書から、
    毎月出ていくものを全部書き出します。年払いと自動更新の契約も忘れずに
  2. 1つずつ「無くなったら、どの数字が下がるか」を書く:答えられないものに印をつけます
  3. 3つに分ける:成果につながっている/置き換えられる/やめても困らない
  4. 「やめても困らない」から止める:解約の期限・違約金・更新日を確かめてから止めます
  5. 「置き換えられる」は、
    置き換え先を作ってから減らす
    :先に外注を止めると、
    その仕事が社長のところに戻ってきます

家賃・通信費・電気代のように、
何に使っているかがはっきりしている支出は、
守る側に入っても料金プランの見直しはできます。同じものをより安く買えるなら、切り替えて構いません。

5番目は、とくに気をつけてほしいところです。物販をしていた頃、
私は20名ほどの外注さんにお仕事をお願いしていました。作業からは離れられても、
気持ちはずっと持っていかれていました。払うお金とは別に、社長の確認と指示の時間が、
見えない固定費として毎月かかっていたんです。

なぜ、ツールの導入や外注先の変更だけではうまくいかないのですか?

何を残して何をやめるかの基準が決まらないまま、
道具や相手だけを替えるからです。

安いツールに替えても、
使い方を決める人がいなければ、
確認は社長に戻ってきます。安い外注先に替えても、
何を頼むかが言葉になっていなければ、
やり直しが増えます。払うお金は減っても、社長の時間という固定費が増える。これが、いちばん気づきにくい失敗です。AIを入れても同じことが起きる理由は、
AIを入れても社長の仕事が減らない理由に書きました。

では、置き換え先はどこにあるのか。多くの会社では、すでに社内にあります。これまでの売上や問い合わせの記録(蓄積されたデータ)、
うまくいった営業や作業のやり方(仕組み・ノウハウ)、
社長やベテランの判断の基準(人に蓄積された知識・経験)です。私は会社に眠っている資産を6つに分けて見ていて、
外注やツールの置き換え先になるのは、
このうちの3つです。私が支援の軸にしている考え方を一文でいうと、
こうなります。

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固定費を削るだけで、利益は戻りますか?

削るだけでは、上がり続けるコストに追いつかないことが多いです。

帝国データバンクが2026年7月に全国22,350社を対象に行った調査(有効回答10,518社)では、
価格転嫁率は39.9%でした。コストが100円上がっても、
販売価格に反映できているのは約40円ということです。中小企業は39.7%、
小規模企業は38.3%で、
規模が小さいほど低くなっています(帝国データバンク「価格転嫁に関する実態調査(2026年7月)」)。

残りの約60円を、
固定費の削減だけで埋めるのは難しいと私は考えています。だから削って空いたお金と時間は、
価値をきちんと伝えて「この価格でも頼みたい」と思っていただける仕事に向けたいところです。具体的には、今の商品やサービスをもっと喜ばれるものに磨くこと。そして、すでにおつきあいのあるお客様との関係を育てることです。どちらも、社長が集中すべき仕事です。次にどこへお金を使うかの決め方は、
AI・採用・広告、
次の100万円をどこに使うか
にまとめました。

一人で進めきれないときは、どうすればいいですか?

支出を並べて3つに分けるところまでは、
社長お一人でもできます。止まりやすいのは、
「成果につながっているか分からない支出」と「置き換え先をどう作るか」です。

私がご一緒するときは、
まず御社の支出と数字を一緒に並べ、
守るもの・置き換えるもの・やめるものを分けます。そのうえで、目標と毎月見る数字を一緒に決め、
その達成に向けて伴走します。

削って終わりにせず、
空いたお金と社長の時間で、
お客様へのご連絡を増やす、商品を見直す。固定費の見直しは、そのための最初の一歩です。

この記事のまとめ

問い答え
固定費とは?売上にかかわらず毎月ほぼ同じ額が出ていく費用
どこから削る?費目より先に、支出を3つに分ける
3つの分け方は?成果につながっている/置き換えられる/やめても困らない
削ってはいけないのは?お客様の満足と継続を支えている支出
置き換えの注意は?置き換え先を作ってから減らす
空いたお金と時間は?商品を磨く・既存のお客様との関係を育てる仕事へ

よくある質問

人件費も固定費削減の対象にすべきですか?

A.人を減らす前に、
その人の時間が何に使われているかを見てください。

確認・手戻り・二重入力に時間が取られているなら、
人を減らすより、
その作業を減らすほうが先です。お客様のことをよく知っている人ほど、
会社に残る知識を持っています。

固定費の見直しは、どのくらいの頻度でやればいいですか?

A.全体は年に1回、
契約の更新月が来たものはその都度です。

自動更新の契約は、
更新日の1か月前に見直す予定を入れておくと、
惰性で続くのを防げます。

ツールを解約するとき、気をつけることはありますか?

A.データの持ち出しと、解約の期限を先に確かめます。

解約するとデータが消えるサービスもあります。お客様の情報や過去の記録は、
解約の前に書き出しておいてください。


削る前に、守るものを決める

固定費の見直しは、
守るもの・置き換えるもの・やめるものを分けるだけで、
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