ホーム › 読みもの › 会社の強みの見つけ方|「うちには何もない」会社に眠っている6つの資産 › 売上はあるのに利益が残らない会社が、最初に見直す5つの場所|粗利改善の順番

売上はあるのに利益が残らないとき、
粗利改善は「経費を削る」から始めません。①商品ごとの粗利を分けて見る → ②値付け → ③既存のお客様 → ④外注費・広告費 → ⑤社長と社員の時間、
の順に見直します。先に削ると、お客様に喜ばれていた部分まで一緒に削ってしまうことがあるからです。
「忙しいし、売上も立っている。なのに、決算を見ると思ったほど残っていない」
ご相談でよく伺うお悩みです。
この記事では、私が社長と一緒に粗利を見直すときの5つの場所と、
その順番を紹介します。
A.多くの場合、
「どの商品・どのお客様で利益が出ているか」が分からないまま、
売上を増やす方向に力を使っているからです。
売上が伸びると、仕事の量も、外注費も、
広告費も、社長の時間も一緒に増えます。全体の売上だけを見ていると、
その中に「売れるほど手間が増えて、利益がほとんど残らない仕事」が混ざっていても気づけません。
もう一つは、コストが上がっているのに価格が変わっていないことです。
帝国データバンクの「価格転嫁に関する実態調査」(2026年7月・全国2万2,350社が対象、有効回答1万518社)では、
価格転嫁率は39.9%でした。コストが100円上がっても、
販売価格に反映できているのは約40円という意味です(出典:帝国データバンク)。
大きな会社も含めた全国の平均なので、
そのまま御社に当てはまるわけではありません。それでも平均すると、
上がったコストの6割ほどを会社が負担している計算になります。
A.削れるのは「出ていくお金」だけで、
「1件あたりいくら残るか」は変わらないからです。削る場所を間違えると、
お客様に選ばれていた理由まで削ってしまいます。
外注を増やす、ツールを入れる、経費を見直す。どれも間違いではありません。ただ、何を残して何をやめるかが決まっていないまま進めると、
手間がかかっていた仕事はそのまま残り、
払うお金だけが変わります。
私自身、コンサルの事業をしていた頃に、
導線づくりやサービスまわりを外注さん10名ほどにお願いして、
かえって忙しくなったことがあります。原因は私の段取りで、
何をどう判断すればいいかを渡していませんでした。お金も時間もかかって、結果は失敗でした。
人やツールに払うお金を変える前に、
「どこで利益が出ていて、どこで止まっているか」を先に見る。これが順番の考え方です。
なぜAIを入れても社長の仕事が減らないのかは、
こちらの記事で書いています。
A.次の5つの場所を、上から順に見直します。上の3つは、会社にすでにあるもの(数字・信用と実績・お客様とのつながり)を使えば動かせる場所です。
新しく何かを買い足す前に、すでに会社にあるものから見る。粗利改善でも、私がいつも出発点にしているのは次の考え方です。
顧客・信用・実績を活かして、売上と顧客価値を高める。
5つの場所を、上から順に見ていきます。
最初にやるのは、全体の売上と利益を、
商品・サービスごとに分けることです。
1件売るたびに、いくら入って、
仕入れ・外注・材料などでいくら出ていくか。会計上は販管費に入るものもありますが、
ここでは「その仕事を1件こなすたびにかかるお金」として一緒に並べます。
分けてみると、一番売れている商品で、
思ったほど利益が残っていないことがあります。逆に、あまり力を入れていなかった商品のほうが、
手間が少なく利益が残っていることもあります。
売上・見積・受注のデータは、多くの会社にすでにあります。まだ「商品ごと」に並べ直されていないだけ、
ということもあります。数字の並べ方は、こちらにまとめています。
次に見るのは価格です。
物販をしていた頃、同じ商品を出品していても、
価格が高い出品者のほうが売れることがありました。しかも、同じ方が繰り返し買ってくださる。価格は安さだけで決まるのではなく、
伝え方で売れ方が変わると、
このとき体で覚えました。
その後、ブログとメルマガで物販のコンサルを売るようになった頃にも、
知り合いに安くお伝えしたことがあります。そのとき「こんな金額で教えてくださってありがとうございました」と言っていただいて、
ありがたいと同時に「安く売りすぎたかもしれない」と気づきました。それが、単価を上げる自信につながりました。
私がご支援したピアノ講師・ビジネスコンサルの方(事業歴30年)は、
価格を2倍にしても成約し、
広告費ゼロで最高年商になりました。長く続けてきた方ほど、信用と実績、
お客様の声という資産が、
価格に反映されていないことがあります。
値上げの根拠のつくり方は、
公開事例をもとにこちらで解説しています。
値上げ・価格交渉の根拠のつくり方|中小企業3社の公開事例で読む
3つ目は、すでにつながっているお客様です。
新しいお客様を1人増やすには、
広告費や営業の時間がかかります。一方で、すでに信頼してくださっている方に必要な情報を届けるのは、
ご案内の手間はかかっても、
新しく集めるための広告費はかかりません。同じ売上でも、残る利益が違います。
私がご支援した健康系のコンサル・講座事業の方(事業歴25年以上)は、
広告費をかけず、
すでにつながっていた方たちへの5日間のご案内(特典つき・セミナーから個別相談へ)で、
400万円の売上になりました。
リピート・休眠の方へのご案内・紹介。ここが動いていない会社は、粗利の前に、
まだ使われていない売上が眠っています。
休眠顧客の掘り起こし方|値引きに頼らず、もう一度選ばれる4つの手順
4つ目で、やっと出ていくお金を見ます。見るのは金額の大きさではなく、
払ったお金が回収できているかです。
私の会社では、2024年1月から2025年7月まで、
広告運用を代行会社に月11〜22万円でお願いしていました。いまは自分たちで回す形に切り替えて、
ツール費は月約4.2万円です(広告費は含まず、広告運用以外のツール代も入っています)。
切り替えたのは、
代行会社さんが悪かったからではありません。判断の基準を自分たちで持てるようになったので、
毎月払っていた運用費を、
ほかの仕事に回せると判断したからです。
顧問先の会社(経営20年以上・グループで売上2億円弱)でも、
広告の数字を1年分、
代理店の手数料を含めて月ごとに並べ直しました。すると、手数料まで含めると赤字になっている月があることが見えてきました。
広告の管理画面の数字だけでは、
手数料や外注費は入っていません。「売上に対して、全部でいくら払っていたか」で並べ直すと、
見え方が変わります。
外注費の見直しの進め方は、こちらに書いています。
中小企業がマーケティング予算を抑えるには?AI活用・運用の進め方と外注費見直しの実例
最後は、時間です。
社長が見積を全部見ている。ベテランの社員しか対応できない仕事がある。こうした時間は、
決算書のどこにも「原価」として出てきません。でも、その仕事を1件こなすたびに、確かに使われています。
①で商品ごとの粗利を出したら、
そこに「誰の時間が、どのくらいかかっているか」を書き足してみてください。社長の時間を一番使っている仕事が、
利益の一番薄い仕事だった、
ということもあります。
その仕事を、社長がやり続けるのか、
人に任せるのか、AIや仕組みに渡すのか、
やめるのか。ここで初めて、人・AI・仕組みへの振り分けが決まります。
A.上から順に、
「お客様に選ばれている理由を削らずに、利益を増やせる場所」だからです。
①で数字を分けないまま値上げをすると、
どの商品の価格を上げるべきかが分かりません。②③を見ないまま④⑤を削ると、
本当は価格や既存のお客様で取り戻せた利益を、
コスト削減だけで埋めようとすることになります。
削るのは最後でいい、という意味ではありません。削る場所を決めるために、
先に「どこで利益が出ていて、どこで止まっているか」を知る、
ということです。
そして、5つのうちどこから手をつけるかを決めるのは、
社長の仕事です。私は社長が集中すべき仕事の最初に「戦略・優先順位を決める」を置いています。何をやらないかを決めて、次の一手を決めること。ここは、ツールにも外注にも代わってもらえません。
粗利は、一度見直したら終わりではありません。価格を変えたら、お客様の反応を見る。既存のお客様にご案内したら、数字を見て直す。その途中で、次に見る場所が変わることもあります。
私は、目標と成果指標を一緒に決めて、
その達成に向けて伴走しています。眠っている資産を見つけて、
どこから手をつけるかを決めて、
実行しながら直していく。決めるのは社長ですが、
そのための材料(商品ごとの数字・お客様の声・現場の知恵)を整えて、
隣で一緒に考える役割です。
利益が残るようになったら、その分を、
お客様にもっと喜ばれる商品づくりや、
既存のお客様との関係づくりに向けられます。粗利改善のゴールは、
削って楽になることではなく、
空いたお金と時間を、
利益と顧客価値を生む仕事に使えるようになることだと考えています。
| 見直す場所 | 確かめること |
|---|---|
| ① 商品ごとの粗利 | 一番売れている商品で、利益が残っているか |
| ② 値付け | 信用・実績・お客様の声が価格に反映されているか |
| ③ 既存のお客様 | すでにつながっている方に情報が届いているか |
| ④ 外注費・広告費 | 手数料まで含めて回収できているか |
| ⑤ 社長と社員の時間 | 利益の薄い仕事に、誰の時間が使われているか |
「売上はあるのに、利益が残らない」
「どこから見直せばいいのか、整理したい」
そんなときは、経費を削る前に、
いま会社のどの資産が眠っているのかを確かめてみてください。
自社のどこに資産が眠っていて、何から手をつけるか。考え方と手順を、4つの特典レポートにまとめました。
すでに粗利や価格のことで相談したいことが決まっている方は、
記事の最後にある30分無料相談からどうぞ。
→ 経営の優先順位の決め方|次の100万円をAI・採用・広告のどこに使うか
お金を足す前に、
いま会社のどこで利益が止まっているかを確かめる順番をまとめています。
A.業種によって大きく違うので、
一つの数字は決められません。まずは自社の商品ごとの粗利率を並べて、
低いものと高いものの差を見るところから始めてください。
他社の平均と比べるより、
自社の中で「どの商品が利益を生んでいるか」を知るほうが、
次の一手につながります。
A.離れる方もいらっしゃる可能性はあります。だからこそ、値上げの前に、
選ばれている理由(信用・実績・お客様の声)を言葉にして伝える準備をします。
価格だけを変えるのではなく、
なぜその価格なのかが伝わる形にしてから変えるのが、
私がご支援するときの順番です。
A.やります。ただ、削る場所を決めるのは、
商品ごとの粗利と時間の使い方が見えてからです。
先に削ると、お客様に喜ばれていた手間まで一緒に削ってしまうことがあるからです。
売上と顧客価値顧客・信用・実績を活かして、売上と顧客価値を高める。