ホーム › 読みもの › 会社の強みの見つけ方|「うちには何もない」会社に眠っている6つの資産 › 値上げの根拠は社内にあった|3期連続赤字の鉄骨加工会社が、見積と価格交渉で1年で黒字に戻した事例
※この記事は、当社の支援事例ではありません。公的機関(よろず支援拠点)の事例集に掲載された支援事例をもとに、
ストック経営の視点から考察したものです。事実は事例集の記載によります。
製造業
従業員20名以下
値上げの話になると、多くの社長が手を止めます。
「値上げしたら、取引先が離れるかもしれない」
「うちだけ高くしたら、次から声がかからないかもしれない」
その気持ちは、よくわかります。
今日は、値上げを「お願い」ではなく「根拠のある相談」に変えて、
3期連続の赤字から1年で黒字に戻した会社の事例を紹介します。
地方で鉄骨の加工をしている、従業員20人以下の会社です。昭和43年の創業で、今の社長は二代目。学校施設や、伊勢神宮徴古館といった歴史的な建物の耐震補強にも携わってきた、
高い技術を持つ会社様です。
コロナ禍とウクライナ危機で、
鋼材の価格が1.5倍に上がりました。
請け負った金額に対して、
材料費だけで6割を超えるようになり、
3期続けて赤字。このままでは4期目も赤字になる、
というところで、
商工会を通じてよろず支援拠点に相談しています。
相談を受けたコーディネーターが見立てた原因は、
「低い利益構造」でした。
仕事が少ないのではなく、
1件ごとに残る利益が少なかったのです。
そこで、次のような手を打たれました。
結果は、わずか1年で約2,000万円の赤字から、
約600万円の黒字へ。売上に対する粗利の割合(売上総利益率)は、
7%から15.5%に上がりました。債務超過も解消し、生まれた利益は社員に還元したそうです。
ストック経営では、
会社にすでにある資産を6つに分けて考えています。顧客・取引先/蓄積データ/信用・実績/顧客の声・事例/仕組み・ノウハウ/知識・経験です。
この事例で使われていたのは、主に次の3つだと考えます。
新しい取引先を探して売上を増やしたり、
設備を入れたりもせず、既存の取引先に、
持っていたデータと実績を交渉の「根拠」にして、
利益を増やせました。
ここからは、事例集に書かれていることではなく、
私の考えです。
黒字に戻ったあと、
私ならこの会社と次の3つを一緒に進めたいと思います。
❶ ほかの取引先にも、同じ根拠で価格を相談する
工事ごとに利益が見えるようになったら、
次は「取引先ごと」「仕事の種類ごと」に並べます。利益が残る取引先と、
忙しいわりに残らない取引先が分かれて見えてくるはずです。残らない取引先には同じ根拠で価格を相談し、
残る仕事は少しずつ増やしていく。値上げの交渉に頼りきらなくても、利益が安定していきます。
❷ 競合にない強みを、見積の前に伝える
歴史的な建物の耐震補強に携わってきた技術は、
ほかの会社には替えのきかない強みです。工事ごとのデータがあれば、
「どれだけ正確に、どれだけ早く仕上げてきたか」も数字で示せます。見積書や会社案内でこれを先に伝えておくと、
「高いかどうか」ではなく「この会社に頼みたいかどうか」で選ばれやすくなり、
価格の提案もしやすくなります。
❸ 交渉のコツを、AIも使って会社の資産にする
「この仕事なら、いくら以上で受ける」という判断や、
価格を相談するときの話し方は、
たいてい社長の頭の中にあります。根拠になるデータのため方と、
うまくいった商談の進め方を1つずつ言葉にして、
AIも使いながら会社の中に残していく。そうすれば、社長がいなくても社員が同じように見積と相談ができます。さらに、取引先の条件が外に出ないよう配慮したうえで、
同業や他業種の会社に向けた研修やノウハウとして届けることもできます。値上げで取り戻した利益を、次の売上の柱に変える一歩です。
最後に、ひとつだけ問いを置いておきます。
あなたの会社で、
最後に「この仕事で、いくら残ったか」を数えたのはいつでしょうか。
売上の数字は毎月見ていても、
1件ごとに残った利益までは見ていない、
という会社は少なくありません。値上げの根拠は、もう社内の数字の中にあるかもしれません。
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出典:よろず支援拠点(公的支援機関)の公開事例集より「見積の精緻化と価格交渉を徹底し 3期連続赤字からのV字回復を実現」
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