ホーム › 読みもの › AIを導入しても社長の仕事が減らない3つの理由|中小企業のAI活用で先に見直すこと › AIを用いた業務効率化とは?具体例・進め方と、広告運用のコストを最大80%減らして分かったこと

「AIを導入したい」というご相談を、経営者の方からいただきます。
ChatGPTをはじめとした生成AIを使えば、文章作成、議事録、資料づくり、情報収集、データ分析、問い合わせ対応など、多くの仕事の下準備を任せられるようになりました。
ただ、ご相談の中身を伺っていくと、本当の課題がAIではないこともあります。
ある会社では、「AIを導入したい」というご相談から始まりました。
ところがチームの方にもお話を伺うと、詰まっていたのは利益の構造、商品の設計、顧客情報の管理、そして社長にしかできない仕事の整理でした。
私の会社では、広告運用を外注していた頃、運用代行費に月11〜22万円を払っていました(2024年1月〜2025年7月)。
いまは代行会社に頼まず、自社のツールで運用する形に切り替えました。
ツールにかかっている費用は、月約4.2万円です。
いちばん高かった月と比べると、最大80%減りました。
ただ、ここまで来られたのは、AIの性能が上がったからではありません。
AIに渡す前に、その仕事の判断基準を言葉にできたかどうか。
分かれ目は、そこでした。
結論からいうと、AIを用いた業務効率化は、ツール選びより先に、仕事を書き出して「社長が持つ・人に任せる・AIに任せる・仕組みにする・やめる」の5つに振り分けることから始めると、成果につながりやすくなります。
この記事では、AIを用いた業務効率化の具体例と進め方を、自社で先に試したことを交えて紹介します。
AIを用いた業務効率化とは、これまで人がやっていた作業や判断の一部をAIに任せて、
という状態をつくることです。
生成AIが広まって、これまで自動化しにくかった文章づくりや情報整理、アイデア出し、分析も任せやすくなりました。
ただし、目的は「作業を速くすること」だけではありません。
仕事の進め方そのものを見直して、社長と社員の時間を、お客様と商品に戻すこと。
AI活用の目的は、ここにあります。
メール、報告書、社内文書、提案書、マニュアル、ブログ記事、SNS投稿、メルマガなど。
人がゼロから書くのではなく、
AIがたたき台を作り、人が確認して直す
という形に変えると、ゼロから書く時間を短くしやすくなります。
会議の要約、決まったこと、担当者、次回までの宿題、保留になったこと。
文字起こしで終わらせず、「誰が、何を、いつまでに」まで整理させると、会議のあとに「結局どうなったっけ」と確かめ直す手間を減らしやすくなります。
見込み客の下調べ、商談の要約、提案書のたたき台、フォローメール、過去の商談の振り返り。
これをAIに任せると、営業担当者は、お客様との対話と提案に時間を使いやすくなります。
記事の構成、広告文、SNS投稿、メルマガ、アンケートや広告データの分析、競合調査。
ただし「AIに広告文を書かせる」だけでは、どこかで見たような文章になりがちです。
過去に反応がよかった広告、顧客の声、商談の記録、よくある質問など、自社にたまっている情報をAIに渡すことで、自社らしい文章に近づきます。
過去の問い合わせ履歴やFAQ、商品資料を整理しておけば、AIに回答案を作らせられます。
完全に自動化しなくても、
AIが回答案を作る
↓
担当者が確認する
↓
送る
という流れにすると、回答をゼロから書く手間を減らしやすくなります。
「この仕事は○○さんしか分からない」という属人化は、人数の少ない会社ほど起きやすい問題です。
一人ひとりが担当している範囲が広いからです。
社長の判断基準、ベテラン社員のノウハウ、過去の対応履歴、マニュアルを、AIで探せる状態にしておくと、「誰かに聞かないと進まない」時間を減らしやすくなります。
これは効率化であると同時に、会社にたまってきた知識を、資産として残すことでもあります。
ここからは、私の会社(合同会社めぐみ)で先にやったことです。
社長1人の会社で、商品は経営の相談とコンサルティング。
お客様の会社とは規模も業種も違うので、同じ割合で減るとは限りません。
そのうえで、順番の参考として読んでください。
以前は、広告運用を代行会社に頼んでいました。
いまは代行会社には頼まず、広告の数字の集計や勝ち負けの判定、改善案の下書きを、自社のツールでできる形にしています。
同じツールで、記事やSNS原稿の下書き、メールとLINEの配信も行っています。
| 以前(2024年1月〜2025年7月) | いま(2026年) | |
|---|---|---|
| 広告運用にかかる月額 | 運用代行費 11〜22万円 | ツール費 約4.2万円 |
| 内訳 | 代行会社への支払い | AI 約2万円/配信・LPツール 約2万円/デザインツール 1,180円 |
| 比べると | — | いちばん高い月より最大80%減(いちばん安い月と比べると約62%減) |
※ 月額・税込の概算。
広告費そのものは、どちらにも含めていません。
いまの約4.2万円には、広告運用のほかに、LP・メールとLINEの配信・原稿の下書きに使っているツール代も入っています(広告運用だけにかかる費用は、これより少なくなります)。
広告のほかにも、集客・教育・商談の準備・経理の下準備まで、41の仕事をAIと仕組みに移しました。
41の仕事は、一度に移したわけではありません。
任せられたのは、判断基準を言葉にできた仕事からでした。
「何をもって良しとするか」「どこまでなら任せた側で決めてよいか」が言葉になっている仕事は、AIにも渡せます。
逆に、「なんとなく、この感じ」と自分の感覚で決めている仕事は、AIに渡しても、結局自分で直すことになります。
ツールを増やしても社長の仕事が減らないのは、渡しているのが作業だけで、判断が社長の頭の中に残っているからです。
判断が残っている限り、確認は社長に戻ってきます。
減らす話は、どこまで減らしたかより、どこで止めたかのほうが大事だと思っています。
自社では、次の仕事は人に残しています。
お客様対応の質を下げて手間を減らすことは、していません。
減らした手間の分を、お客様と商品に戻すために減らしています。
よくある原因は、次の3つです。
詳しくは、こちらの記事にまとめています。
ツールを選ぶ順番も、よく逆になっています。
課題 → 業務 → 必要な機能 → ツール
の順に決めると、月額費用やツールの数だけが増える状態を避けやすくなります。
AI活用というと、新しいツールを入れるイメージが強いかもしれません。
でも、成果を左右するのは、AIで何ができるかより、AIに何を渡せるかです。
会社には、積み上げてきた6つの資産があります。
たとえば、
6つの資産の見つけ方は、こちらで詳しく書いています。
→ 会社の強みの見つけ方|「うちには何もない」会社に眠っている6つの資産
どんな仕事があるか、誰がやっているか、どれくらい時間がかかっているか、どこで止まっているかを書き出します。
同時に、「この仕事は本当に必要か?」も確認します。
書き出した仕事を、
社長が持つ・人に任せる・AIに任せる・仕組みにする・やめる
の5つに振り分けます。
時間がかかる仕事だけを見るのではなく、利益と顧客満足にどう影響するかも一緒に見ます。
振り分け方は、見積書づくりを例に、こちらで工程ごとに説明しています。
→ AIに任せる仕事・人に任せる仕事の分け方|業務棚卸しで5つに振り分ける
最初から会社全体をAI化する必要はありません。
「毎週2時間かかっている報告書づくり」のように、1つの仕事から始めます。
試す → 効果を測る → 直す → ほかの仕事に広げる
の順で進めます。
「社員がAIを使っているか」だけを見るのではなく、会社の成果を確認します。
ひとつ正直に書くと、私の会社では、以前の作業時間を記録していませんでした。
だから「月◯時間減った」とは言えず、数えられているのは費用と、手放した仕事の数だけです。
これから始める会社は、AIに渡す前の作業時間を1か月だけでも記録しておくことをおすすめします。
あとで効果を測れるのは、その記録がある会社だけです。
AIで、文章づくり、営業、マーケティング、問い合わせ対応、社内の情報共有など、多くの仕事を軽くできるようになりました。
ただし、AIを入れただけで会社全体が楽になるわけではありません。
何を実現したいのか
↓
どの仕事を変えるのか
↓
その仕事を、社長・人・AI・仕組みのどこに任せるのか(やめるのか)
の順で考えます。
そして、会社にすでにある顧客、実績、事例、データ、ノウハウ、経験を整理して、AIに渡せる状態にする。
そうすると、AIは便利な道具にとどまらず、積み上げてきたものを、次の成果につなげる仕組みになります。
社長がAIより先にやるべき仕事については、こちらに書いています。
→ 社長の仕事とは?AIを入れる前に「本当に必要な仕事」と「誰がやるか」を見直す
文章づくり、メール、会議の要約と議事録、営業資料、問い合わせ対応、データ分析、マーケティング、社内の情報共有などがあります。
最初に仕事を書き出し、「社長が持つ・人に任せる・AIに任せる・仕組みにする・やめる」の5つに分けることから始めます。
A.すべてをAIに任せる必要はありません。
何をやるか・やめるかの判断、お客様との関係づくり、結果への責任は、人が持ったほうがよい仕事です。
ツールを比べる前に、改善したい仕事を決め、その仕事に必要な機能からツールを選びます。
できます。
1つの仕事から小さく試し、効果を確かめながら広げれば、大きな投資をせずに始められます。
人数の少ない会社は、決める人と動く人が近いので、試した結果をすぐ次に活かせます。
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