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THEME 02|すでにある資産を、売上に変える

経営資産の活かし方

値上げできた3社に共通していたのは、「数字の見る単位」を変えたこと公開事例で読む、値上げの根拠のつくり方

※この記事で紹介する3社は、
当社の支援事例ではありません。公的支援機関の公開事例集に掲載された支援事例をもとに、
ストック経営の視点から考察したものです。事実は事例集の記載によります。

値上げをしないといけないのは、分かっている。でも、何を根拠に切り出せばいいのか分からない。

材料費も人件費も上がり続けるなかで、
そう感じている社長は少なくないと思います。

これまで、値上げで利益を取り戻した3社の公開事例を1本ずつ読んできました。業種も規模も違う3社ですが、並べてみると、
はっきりした共通点がありました。

3社とも、新しく何かを足したわけではありません。すでに手元にあった数字の「見る単位」を変えて、
それを値上げの根拠にしていました。

3社は、何をしたのか

鉄骨加工運送制御盤メーカー
困っていたこと鋼材が1.5倍。3期連続の赤字運賃が30年以上そのまま。営業利益約900万円の赤字売上の約8割を占める取引先との価格が20年近くそのまま。赤字が続く
変えた「見る単位」会社全体 → 工事ごとトラックごと → 契約ルートごと値段ひとまとめ → 中身ごと(工賃・作業時間・部品代・メンテナンス代)
結果1年で約2,000万円の赤字 → 約600万円の黒字粗利が約1,000万円増加工賃がもとと比べて15.2%アップ(作業時間の見直しは交渉中)

3社とも、数字そのものは前から持っていました。鉄骨加工の会社には工事ごとの材料費があり、
運送会社は毎月トラックごとの収支を出し、
制御盤メーカーは決まった計算式で値段を出していました。

足りなかったのは、数字ではなく、
その数字をどの単位で見るかでした。

共通点1:「どこで損をしているか」が見える単位にした

会社全体やトラック1台ごとの数字では、
「今月は赤字だった」までしか分かりません。

運送会社の例が分かりやすいと思います。1台のトラックは、いくつもの取引先の仕事を運んでいます。だからトラックごとに見ても、どの取引先の、
どのルートが利益を削っているのかは見えません。契約ルートごとに分け直したことで、
はじめて「ここが赤字だ」と言えるようになりました。

鉄骨加工の会社は、
受注する前に「この仕事でいくら残るか」を出す資料をつくりました。制御盤メーカーは、
値段を工賃・作業時間・部品代・メンテナンス代に分けて、
どこが実態とずれているかを見つけました。

値上げの根拠は、
「どこで損をしているか」が見える単位で数字を並べたときに、
はじめて生まれています。

共通点2:相手が「社内で説明できる」資料にした

3社とも、自社の都合を伝えるだけでは終わっていません。

運送会社は、荷主の担当者が上司や決裁者に説明しやすいよう、
「なぜこの運賃なのか」を示す資料を一緒につくっています。制御盤メーカーは、
資料の作り方や数字の出し方、
話し方まで準備したそうです。

値上げを決めるのは、目の前の担当者だけではありません。担当者が社内で「これなら仕方ない」と説明できる材料を渡すことが、
交渉を「お願い」から「相談」に変えていました。

共通点3:長く続けてきた信用が、交渉の土台になった

3社とも、取引先との付き合いが長い会社です。

歴史のある建物の耐震補強にも携わってきた技術。30年以上、安定して運び続けてきた実績。設計からメンテナンスまで任せてもらえる一貫体制。

こうした信用があったからこそ、
根拠を示して値上げを相談しても、
関係が切れませんでした。運送会社の社長は、
「利益を確保できない仕事は、続けるべきではない」と考えられるようになり、
荷主と対等に話せるようになったそうです。

数字(蓄積データ)は値上げの「根拠」になり、
長く続けてきた信用(信用・実績)は値上げの「土台」になる。
3社とも、この2つの資産を組み合わせて使っていました。

3社の違いから分かること

共通点だけでなく、違いにも学びがあります。

  • 鉄骨加工の会社は、
    受注する前に利益を出す仕組みをつくりました。値上げの交渉だけでなく、
    「いくら以下なら受けない」という判断の基準ができています
  • 運送会社は、利益の出ない仕事をやめる判断をしました。売上は少し減りましたが、粗利は増えています
  • 制御盤メーカーは、全部がうまくいったわけではありません。作業時間の見直しはまだ交渉中です。売上の約8割を1社に頼っていると、
    どれだけ根拠をそろえても、
    強く出にくい面があります

値上げの根拠をつくることと、
取引先の偏りを少しずつ減らしていくことは、
セットで考えたほうがよさそうです。

あなたの会社で、最初に見るところ

3社の事例から、最初の一歩を3つにまとめます。

  1. 値段が何と何でできているかを書き出す(材料費・作業時間・人件費・外注費・部品代など)
  2. その数字を「取引先ごと」「仕事ごと」に並べ直す(会社全体ではなく、損をしている場所が見える単位で)
  3. 実態とずれている項目を1つ選んで、
    取引先が社内で説明できる形の資料にする

一度に全部の取引先と交渉する必要はありません。まずは、いちばんずれが大きいところ1つからで十分です。

私たちの支援でも、同じことが起きていました

公開事例の3社は製造業や運送業ですが、
講座やコンサルティングの事業でも、
根っこは同じです。私がこれまで個別のコンサルティングでご一緒した方の中にも、
新しく足す前に、
すでにあるものを活かして結果が出た方がいます。

  • 所作・マナー講師/著者(事業歴15年):放置されていたメルマガのリストに、
    広告費ゼロでご案内。単月214万円の売上に
  • 起業コンサルタント(事業歴30年):商品も仕組みも変えず、
    価値の伝え方と提案の順番を見直して、
    単価を2倍以上に。成約率は下がらず、最高月商・最高年商を更新
  • アロマ講師(事業歴20年以上):集客の仕組みを整えるつもりで始めたところ、
    20年以上続けてきた講座の中身そのものが磨き直された。「思いがけず自分の商品のブラッシュアップができた」と喜んでくださいました

業種は違っても、値段や売上の根拠は、
すでに会社の中にある数字・お客様・積み上げてきた中身にありました。

私なら、ここから一緒に進める

ここからは、事例集に書かれていることではなく、
私の考えです。

3社の事例で、公的機関の専門家は、
数字の見方を変えて交渉の準備をするところまで、
丁寧に伴走しています。

私ならその先で、次のことを一緒に進めたいと思います。

  • 数字を見る単位を、その会社に合わせて決め、
    毎月自動で集まる形にする
  • 「この仕事なら、いくら以上で受ける」という判断の基準を言葉にして、
    社長がいなくても見積と相談ができるようにする
  • 交渉資料の作り方を、
    AIも使って会社の中に残し、
    次の見直しのときにすぐ使えるようにする
  • 利益が出ていて長く続いている取引先との仕事を深め、
    偏りを少しずつ減らしていく

値上げで取り戻した利益を、
一度きりで終わらせず、
次の利益を生み続ける仕組みに変えていく。それが、ストック経営で大事にしていることです。

3社の事例を、1本ずつ読む

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出典:公的支援機関の公開情報より引用「見積の精緻化と価格交渉を徹底し 3期連続赤字からのV字回復を実現」「30年据え置かれた運賃を適正価格へ 『原価の見える化』と『根拠ある交渉』で収益構造を刷新」「粘り強い価格交渉で工賃15.2%増を達成し 連続赤字決算から脱却」

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