
工務店・リフォーム会社で、
現場の報告がLINEに届いているのに社長が毎回確認しているのは、
報告に「誰が決めるか」が書かれていないからです。もうひとつは、報告がトークの中に流れて、
顧客台帳に残らないからです。報告の形を決めて、
LINEの中身をお客様ごとの台帳に移すと、
社長が見る報告は「お金・お客様との約束・品質」に関わるものだけに絞れます。空いた時間は、引き渡し後のお客様との関係や、
次の受注の段取りに向けられます。
最初にお伝えしておきます。私には、工務店・リフォーム会社をご支援した実績はありません。この記事の後半にある実演は、
架空の会社・架空の報告で作ったものです。
それでも書こうと思ったのは、「報告はちゃんと届いている。でも、最後は全部自分が確認している」という状態を、
私自身が物販の事業で毎日経験していたからです。報告を受けて、確認して、返事をする。この流れが社長ひとりに集まるところは、
業種が違っても同じ形をしていると考えています。
報告が「起きたこと」だけで終わっていて、
「それを誰が決めるのか」が書かれていないからです。
「解体が終わりました。土台の一部が傷んでいます。写真送ります」。この報告を受け取った社長は、写真を開いて、
補修するか、費用はどうするか、
お施主様にどう伝えるかを考えます。報告した側も、社長の返事が来るまで次に進めません。
報告の数が増えるほど、
社長のスマホに「返事待ち」が積み上がっていきます。現場の担当者が悪いわけではありません。どこまで自分で決めてよいかが、
言葉になって渡っていないだけです。
私は2016年に起業してから約1年半、
ハイブランド品の物販をしていました。1日に100〜200品を扱い、
国内外の外注さん20名ほどにお願いしていました。受注が入るたびに外注さんへ依頼して、
確認の結果をもらい、買い付け、送金の連絡、
発送の連絡。報告はきちんと届いていました。でも、どの業務も、最後のところで私の確認が必要でした。自分で作業はしていなくても、
気持ちがずっと持っていかれていたんです。
変わったのは、まとめ役の方に「リサーチと買い付けの依頼はお任せする。お金の判断は私が持つ」と線を引いてからです。仕事は楽になりました。全部を任せたわけではなく、
「ここまではお任せする」「ここからは私」を決めただけです。
やめる必要はありません。職人さんや現場の担当者が使い慣れていて、
写真もすぐ送れるのは、
LINEの大きな良さです。
ただ、LINEにも種類があり、
向いている使い方が違います。
| 種類 | 向いている使い方 | 気をつけたいこと |
|---|---|---|
| 個人のLINE | 担当者とお施主様の気軽な連絡 | 担当者が辞めると、やりとりが会社に残らない |
| LINE WORKS | 社内・職人さんとの報告や連絡 | 会社が管理できるが、お客様の情報は別に残す必要がある |
| LINE公式アカウント | お施主様への進捗・写真の共有、引き渡し後の案内 | 何を誰が送るか、決めておかないと担当者ごとにばらつく |
どれを使うかより大事なのは、
「報告をどこに残すか」と「誰が決めるか」を先に決めておくことです。ここが決まっていないと、
どの道具を使っても社長の確認は減りません。
工事中にいちばん大事な情報が、
トークの中を流れていってしまうからです。
工事中のやりとりには、
見積書や契約書には出てこない情報がたくさん入っています。お施主様が途中で変えたいと言った色。「次はここも気になっている」とつぶやいた箇所。ご家族の様子。工事の途中で見つかった傷み。
こうした情報は、引き渡しのあと、
点検の案内や次のリフォームのご提案をするときに、
いちばん役に立ちます。でも、担当者のLINEのトークに埋もれたままだと、
引き渡しが終わった時点で、
誰も思い出せなくなります。
私は、会社に眠っている経営資産を6つに分けて考えています。そのうちの「顧客・取引先とのつながり」と「蓄積されたデータ」が、
まさにここです。工事中のLINEには、両方が入っています。鈴木様(後の実演に出てくる架空のお施主様)の「次はベランダの防水も気になる」という一言は、
台帳に残れば次のご提案になり、
トークに流れれば誰も覚えていない一言になります。
リフォーム業界では、
新しいお客様の取り合いが厳しくなっています。東京商工リサーチの集計では、
2026年1〜9月のリフォーム工事業の倒産は96件で、
前年同期より20.0%増え、
2002年以降で最も多くなりました(負債1,000万円以上が対象)。主な原因は販売不振で、
記事では資材高や職人不足に加えて、
受注競争と値引きが赤字の工事につながっていることにも触れています。(出典:東京商工リサーチ「リフォーム工事業の倒産、過去最多ペース」2026年10月11日)
値引きで新しいお客様を取り合うのとは別の道として、
すでに工事をさせていただいたお客様との関係を育てる道があります。その材料は、現場のLINEの中にもう入っています。足りないのは、それを残す場所と、残す人です。
社長の判断基準が言葉になっていないまま、
道具だけが新しくなるからです。
アプリを入れると、写真や工程は1か所に集まります。それ自体はとても良いことです。ただ、「この傷みなら担当の判断で補修してよい」「この金額までの変更なら担当が決めてよい」という線が無いままだと、
アプリに上がった報告を、
結局また社長が一つずつ見ることになります。
もうひとつは、入力する場所が増えることです。アプリを入れても、
現場の連絡はLINEのまま、
お客様の情報はExcelのまま、となると、
同じことを2回、
3回と入れ直すことになります。
AIも同じです。AIは報告を読んで、表に整理するのは得意です。でも、「どれを社長に回すか」を決める基準は、
社長が先に言葉にしておかないと、
AIにも渡せません。この話は AIを入れても社長の仕事が減らない理由 で詳しく書いています。
ここからは、架空のリフォーム会社(社員8名・現場担当3名)を例にした実演です。会社も、お施主様も、報告の文面も、すべて作ったものです。
ある日、現場担当からLINEにこんな報告が3件届いたとします。
> 山田様邸(浴室)、解体終わりました。土台の一部が傷んでいます。写真送ります。補修しますか?
> 佐藤様、キッチンの扉の色を白からグレーに変えたいとのことです。金額は同じです。発注はまだ間に合います。
> 鈴木様邸、外壁塗装が完了しました。奥様が、次はベランダの防水も気になると話していました。
この3件を、次の指示と一緒にAIに渡します。
> 次の現場報告を、表に整理してください。列は「お客様/工程/起きたこと/判断が必要か/次の対応/顧客台帳に残すこと」。判断が必要かは、次の基準で分けてください。金額が変わる・工期が延びる・お施主様との約束が変わるものは「社長」。それ以外は「担当で可」。
たとえば、こういう表に整理されます(架空の例です)。
| お客様 | 工程 | 起きたこと | 判断が必要か | 次の対応 | 顧客台帳に残すこと |
|---|---|---|---|---|---|
| 山田様 | 浴室・解体後 | 土台の一部に傷み | 社長(費用が変わる) | 補修の見積を作り、写真つきで説明 | 床下の状態・補修の有無 |
| 佐藤様 | キッチン・発注前 | 扉の色の変更希望 | 担当で可(金額同じ) | 発注先へ変更を連絡 | 色の好み(グレー) |
| 鈴木様 | 外壁塗装・完了 | ベランダ防水が気になる | 担当で可 | 引き渡し時に点検の時期を案内 | 次のご要望:ベランダ防水 |
3件のうち、社長が判断しなければいけないのは1件だけになります。残りの2件は、担当者が進めて、
結果を台帳に残せば済みます。そして、鈴木様の「次はベランダ」という一言は、
トークに流れずに、
次のご提案の材料として台帳に残ります。
この実演でいちばん大事なのは、AIの部分ではありません。指示の中にある「金額が変わる・工期が延びる・約束が変わるものは社長」という一文です。この線を引けるのは社長だけです。AIは、その線に沿って仕分けと清書をしているだけです。
御社では、社長の確認がどこに集まっていて、
どの資産が使われずに眠っているか。手順に入る前に、まずは2分で確かめられます。
AI利益改善診断(2分・無料)は、
下の3大特典にご登録いただいたあと、
完了画面からLINEに登録すると受けられます。
いきなりアプリやAIを入れるのではなく、
次の順番で、1つずつ進めます。
任せる線の引き方は 社長しか決められない仕事を減らすには? に、
判断の基準を言葉にする進め方は 属人化をなくすには? にまとめています。
早く小さく試して、数字を見ながら直していく。私が事業を続けてきて、ずっと大事にしていることです。基準は最初から完璧でなくて大丈夫です。
基準を決めて、報告の形を変えるところまでは、
社内でもできます。止まりやすいのは、そのあとだと考えています。新しい決まりごとは、
日々の仕事に追われると元のやり方に戻りやすいものです。私自身、物販の頃に線を引くまで、
ずっと「最後は私が見る」やり方のままでした。
私は、そのあとの部分を、
目標と成果指標を一緒に決めたうえで、
達成まで伴走しています。
社長の頭の中にある「ここからは私が見る」という線と、
現場のLINEに流れているお客様の一言。どちらも、会社がすでに持っている資産です。データ・専門知識・ノウハウを活かして、
人とAIが成果を出せる組織をつくる。私が伴走で目指しているのは、
この2つを言葉と台帳に移して、
社長がいなくても判断が進む状態です。社長の確認が減って空いた時間は、
OBのお客様に点検や次のご提案をすることや、
次の受注の段取りを考えることに向けられます。
| 問い | 答え |
|---|---|
| 社長の確認が減らない理由は? | 報告に「誰が決めるか」が無いから |
| LINEはやめるべき? | やめなくてよい。残す場所と決める人を先に決める |
| 顧客管理とつながらない理由は? | 工事中の要望がトークに流れて台帳に残らないから |
| アプリだけで解決しない理由は? | 判断の基準が言葉になっていないから |
| AIに任せられるのは? | 報告の仕分けと台帳への清書 |
| 社長に残すのは? | お金・お客様との約束・品質の判断 |
A.最初は「どこの現場か」「判断が要るか」の2つだけ書いてもらうところから始めてください。
項目が多いと続きません。2つだけでも、社長が開く前に「自分が見るべき報告か」が分かるようになります。慣れてから項目を足していけば十分です。
A.はい、最初はExcelやスプレッドシートで十分です。
大事なのは道具より、
お客様ごとに1か所にまとめることと、
工事中の要望や「次に気にしている箇所」を残す列をつくることです。件数が増えて探しにくくなってから、
顧客管理の仕組みを考えれば間に合います。
A.使うAIの利用規約と、
入力したデータの扱いを先に確認してください。
心配な場合は、お名前や住所を記号に置き換えてから整理させる方法もあります。どの情報を外のサービスに入れてよいかも、
社長が先に決めておく基準のひとつです。
組織データ・専門知識・ノウハウを活かして、人とAIが成果を出せる組織をつくる。